突然ですが、「四万六千日(しまんろくせんにち)」という観音さまの功徳日があるのをご存知でしょうか。
「四万六千日」はそのままの意味で、
46000日=約126年
という、日数のことを表しています。
四万六千日=7月10日に観音さまを拝むと、126年間毎日お参りしたのと同じ功徳が得られるという超絶御利益バグってる日なんです!
タイパの鬼やでぇ…
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年に1度の大功徳チャンス、到来
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だいぶ前の話になりますが、7月10日にインスタのストーリーズに四万六千日のことを載せたら思いのほか反響がありました。
私自身それほど詳しくないので、この記事を書くにあたって改めて調べてみましたよっと✍️
仏さまの「御縁日」って?
神さま仏さまにはそれぞれ「縁日(えんにち)」があり、御縁日にお参りするといつもより御利益がアップするという嬉しい仕組みとなっています。
縁日でとくに有名なのが
- 毎月18日 観音菩薩
- 毎月28日 不動明王
- 毎月21日 弘法大師
- 毎月24日 地蔵菩薩
あたりでしょうか🤔
1年365日、いつも誰かの誕生日なのと同じように、毎月30日間いつも神さま・仏さまの功徳日!
毎日がスペシャル!
現代で”縁日”といえば屋台がたくさん並ぶお祭りをイメージしますが、御縁日に寺社に多くの人が参拝に訪れることから参道に市(屋台)が並ぶようになったのが始まりです。
仏さまの御縁日一覧
では、具体的に何日がどの仏さまの御縁日なのかというと…
1日 定光仏(じょうこうぶつ)、妙見菩薩
2日 燈明仏(とうみょうぶつ)
3日 多宝仏(たほうぶつ)
4日 阿閦如来(あしゅくにょらい)
5日 弥勒仏(みろくぶつ)、水天宮
6日 二萬燈明仏
7日 三萬燈明仏、千手観音
8日 薬師如来、八幡宮
9日 大通智勝仏
10日 日月燈明仏、金毘羅大権現
11日 歓喜仏
12日 難勝仏、薬師如来
13日 虚空蔵菩薩、日蓮上人
14日 普賢菩薩
15日 阿弥陀仏、妙見菩薩
16日 陀羅尼菩薩、閻魔大王
17日 龍樹菩薩、青龍権現
18日 観音菩薩、鬼子母神
19日 日光菩薩、七面天女
20日 月光菩薩
21日 無尽意菩薩、飯縄権現
22日 施無畏(せむい)菩薩
23日 大勢至菩薩
24日 地蔵菩薩、愛宕権現
25日 文殊菩薩、天満天神
26日 薬上菩薩
27日 廬舎那仏
28日 大日如来、不動明王、三宝荒神
29日 薬王菩薩
30日 釈迦如来
これを「三十日秘仏(さんじゅうにちひぶつ)」というそうです。
失礼ながら初耳な仏さまもいっぱい…なんですが、西暦900年代に中国で制定されたものが元になっているため、現代の日本ではあまりメジャーじゃない神仏が含まれているのが理由のようです。
余談ですが、神さまバージョンの「三十番神(さんじゅうばんしん)」というのもありますよ。
御利益がバグる「功徳日」
そして、縁日よりさらにチート級の御利益が得られるのが「功徳日(くどくにち)」です。
功徳日は寺社(なんと神社にもあるようです!が、詳細は不明…)によって異なり、他の日に参拝するより多くの御利益がいただける日とされています。
そして、功徳日で一番有名(たぶん)なのが浅草寺の7月10日の四万六千日というわけです。
浅草寺の「四万六千日」
では、浅草寺の「四万六千日」にどのようないわれがあるのか詳しくみていきましょう。
もとは「千日詣り」といい,本来はこの日に参詣すると 1000日参詣したのと同じ功徳が得られるとされていたが,享保年間(1716~36)頃から 4万6000日参詣したのと同じ功徳があるとされ,「四万六千日」と呼ぶようになった。
(コトバンク「四万六千日」より引用)
「千日詣り」でも1日で1000日参拝分の功徳が得られるというお得な日でしたが、江戸時代になるとさらに功徳がインフレした模様。
少年ジャンプの漫画かよ…
「功徳日」が現れたのは室町時代末期のこと。浅草寺では毎月功徳日があり、とくに最大の功徳が得られるのが7月10日です。
昔から7月10日の功徳日に多くの人が訪れることから、現在では1日前倒しで7月9日・7月10日両日に「ほおずき市」が開催され、浅草寺では雷除けの護符などが頒布されているようです。
御利益ぶっ壊れの「四万八千日」
残念ながら徳島では四万六千日の御縁日の行事があるお寺はない…と思ってたんですが、ありました!
それが、徳島市多家良町にある中津峰山如意輪寺(にょいりんじ)。
寺号のとおり、如意輪観音さまを御本尊とするお寺です。参拝してから記事をまだ作っていないので詳細はありません。メンゴ☆
如意輪寺は以下の霊場の札所となっており、それぞれ御朱印がいただけますよ。
- 新四国曼荼羅霊場第81番札所
- 阿波秩父観音霊場第1番札所
- 阿波七福神 大黒天
如意輪寺の功徳日も7月9日・10日で、日程的には浅草寺の四万六千日と同じ日なんですが、その功徳がさらにヤバい。
四万八千日=約131年
四万六千日より5年も多いよ!
四万八千日の「ろうそく祭り」
如意輪寺にも四万八千日の行事があります!
「四万八千日万灯会(ろうそく祭り)」として家内安全や商売繁盛などの願いを込めた「月光ろうそく」を奉納でき、7月9日から7月10日まで本堂前で灯されるそうです。
1回行ってみたいですが、なかなか機会がなく…。
如意輪寺へのアクセス
如意輪観音は女性の味方
如意輪寺の御本尊は如意輪観音さま。このように頬づえをついたアンニュイなポーズでおなじみですが、女性を地獄から救ってくださる仏さまなんです!
古い時代の仏教では女は問答無用で全員地獄行き(行先は血の池地獄)というハードモード設定でした。
今ならTwitterとかで大炎上する
案件ですね…
これは、やはり生理や妊娠・出産での血の穢れが関係しているようです。ほな子供生まんかったらええんや!と思うかもしれませんが、生めるのに生まないのはそれはそれで罪とされています。
もうどないせぇっちゅうねん…😂
後年には「さすがにひどすぎるやろ」ということで、いつしか如意輪観音さまが血の池地獄から女性を救ってくださるようになりました。
浅草寺を勧請した「中喜来観音堂」
徳島で四万六千日の参拝をお考えの方、如意輪寺の他にこちらもおすすめです。浅草寺の御本尊を勧請したお寺が松茂町にあるんですよ!
その名も「中喜来(なかきらい)観音堂」、こちらは全国で唯一の浅草寺の分院です。境内入り口の寺号標にもしっかりと「東京浅草寺分院」と刻まれていました。
寺号標の揮毫は浅草寺塔頭「善龍院」の権大僧正さまによるものです。
中喜来観音堂のご由緒がこちら。
三木家第八世與吉郎政治(一七八一~一八四九)は江戸で藍の事業に励むかたわら浅草観音に深く帰依し つづいて第九世與吉郎光治(一八〇八~一八八五)もまた第八世に劣らない帰依者で特に浅草寺貫主唯我韶舜僧正さまにはことのほか御親交をいただき聖観世音の御分身を勧請申し上げ明治十年三月開眼供養修法のうえ建立遷座賜りました
とあります。
「三木家」とは、江戸時代に中喜来で藍の取り扱いを始めて藍商として栄えた商家です。江戸時代後期には江戸・日本橋に移って関東一円に販路を広げて繁盛し、現代でも「三木産業株式会社」として続いています。
明治時代に三木家の第9代目が浅草寺から御本尊の分霊を賜り、建立したのが中喜来観音堂です。
観音堂の近くには三木家が所有する阿波藍に関する資料・文化財などが見られる「三木文庫」という資料館があるそうで、そちらも行ってみたいです!
本堂には山号「金龍山」や「観音堂」といった立派な扁額があり、木鼻にはバクがいます。
本堂内部の天井には鮮やかな天女の天井絵があり、ギリ撫でられる位置になで仏の「賓頭盧(びんずる)尊者」像も安置されていました。
年中観光客でにぎわう浅草の浅草寺と違い、中喜来観音堂は幹線道路沿いにありながらとてもひっそりとしています。
ですが、境内はきれいに保たれていて今でも地域で大切にされている様子がうかがえました。
中喜来観音堂へのアクセス