上一宮大粟(かみいちのみやおおあわ)神社は神山町の大粟山中腹にあり、聖武天皇の勅願所となったとても由緒&歴史ある神社です。
人口が少なくて過疎化が進むのどかな山村、というイメージの神山町ですが上一宮大粟神社がある場所は交通量も比較的多くて、決して人里離れた秘境というわけではありません。
なのに、鳥居をくぐると静寂に包まれていて、まさに”聖域”という雰囲気がするとても不思議な神社です✨
現在の阿波国一の宮は鳴門市の大麻比古神社ですが、古くは上一宮大粟神社が阿波の一の宮でした。
上一宮大粟神社へのアクセス
上一宮大粟神社は国道438号線から奥まった場所にありますが、国道からも大鳥居が見えるのでわかりやすいです。大鳥居の手前には郵便局があり、入り口には神社の看板もありました。
- 徳島市中心部から車で40分程度
- 神山温泉や道の駅温泉の里神山の近く
上一宮大粟神社の駐車場
上一宮大粟神社の駐車場はふもとの大鳥居周辺にありますが、なぜか神社に参拝する人以外の車でいっぱい💦普通車10台くらいは停められそうな広いスペースでした。
ここに駐車できるスペースがない場合や階段を上るのが難しい場合は、鳥居をそのまま通り抜けて山の上へ向かう道を進むと、神社の境内まで車で行けます。
駐車料金はどちらも無料です。
公共交通機関でのアクセス
上一宮大粟神社の周辺には駅がないため、車以外で行く場合はバスを利用します。
- JR徳島駅から徳島バス神山線(延命)、神山線(名東)又は佐那河内線に乗車し、上角バス停で下車すぐ
上一宮大粟神社の御朱印
上一宮大粟神社で現在いただける御朱印は複数ありますが、書置きでの対応はなく、宮司さんがいらっしゃる場合のみ御朱印を拝受できるシステム。
上一宮大粟神社と曼荼羅霊場のお納経のみ、近くにお住まいの先代宮司さんが対応してくださいます。
上一宮大粟神社
本社、大粟神社の通常の御朱印です。
きつねさま御朱印
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月次祭(毎月第1土曜、日曜)や例祭など、特別な日だけきつねさまの印が入った御朱印がいただけます✨いただける日が限られているので、なかなか拝受するのが難しいですがとてもかわいいです🥰
きつねさまのデザインはイラストレーターのイワサトミキさんによるものです。
御神木御朱印
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2021年4月の月次祭より頒布されている御神木の御朱印。こちらもきつねさまと同じくイワサトミキさんによるもので、御本殿の奥にそびえる御神木の威容をたたえる素晴らしいデザイン!
御神木+きつねさまの贅沢バージョンもあります。
きつねさま御朱印と同じく、月次祭や例祭など特別なときにだけ授与していただけるものです。
粟(あわ)神社
粟神社は上一宮大粟神社の境内摂社。
上角(うえつの)八幡宮
神山温泉の近くにある八幡神社(上角八幡宮)は大粟神社の鬼門を守っている重要な神社です。大粟神社から車で2分くらいの場所にあります。
腰之宮(こしのみや)神社
腰之宮神社は「こしのみやさん」と呼ばれ、大宜都比売命がこの地を訪れたときに腰かけて休憩された場所といわれています。上一宮大粟神社の裏鬼門を守る神社で、別名「葛倉神社」とも。
大粟神社から車で5分くらいの場所にあります。
皇道神社
10月から皇道神社でも御朱印が授与されるようになったそうです。Googleマップのこの「妙見宮」という神社が皇道神社だと思われます。
他の摂社・末社の御朱印もいただけるようになりました
新しくいただけるようになった以下の摂社・末社の御朱印もあり、現在上一宮大粟神社では8社の御朱印に対応しています。
- 若宮神社
- 豊玉姫神社
- 津津姫神社
今後も摂社・末社の復興に合わせて御朱印対応できる神社が増えていく予定だとか。まだ未拝受の御朱印もあり、それぞれの神社場所がいまいちわからないので詳細はわかり次第追記します。
新四国曼荼羅霊場の納経
上一宮大粟神社は新四国曼荼羅霊場の札所でもあります(第73番)。
御祭神のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)には粟を持ったオオゲツヒメさま✨
新四国曼荼羅霊場の納経の場合は72番札所妙法寺でも対応していて、御影も妙法寺でいただきました。
社務所は不在がち…
拝殿の左隣には社務所がありますが、ご不在の場合が多いです。県外にお住いのため、基本的に土日祝日しか神社にいらっしゃいません。
御朱印を希望する場合、拝殿に置いてある社報などに宮司さんの携帯電話番号が書いてあるので連絡してみましょう。初めて参拝したときに問い合わせたところ、書置きでよければ郵送します、とのことでした。
また、神社の近くに先代宮司さん宅があり、いらっしゃればご自宅でも御朱印をいただけます(先代宮司さんは大粟神社と新四国曼荼羅霊場の御朱印のみ対応していただけます)。
・正月三が日
・毎月第1土曜、日曜日に行われている月次祭(10:00~)
インスタチェックがおすすめ!
昨年10月に現在の宮司さんが新しく就任され、上一宮大粟神社の公式インスタグラムアカウントが開設されていました。
大粟神社や神山町の歴史などためになるお話のほか、宮司さんがいつ神社にいらっしゃるかの予定も確認できるので、参拝前のチェックをおすすめします。
上一宮大粟神社について
『延喜式神名帳』に記載される式内大社「阿波国名方郡 天石門別八倉比賣神社」の論社の一つである。天石門別八倉比賣神社は神亀5年(728年)に聖武天皇の勅願所となり、元暦2年(1185年)には正一位の神階を授けられた。平安時代には、現在の徳島市一宮町に当社の分祠として一宮神社が創建された。
明治3年(1870年)、社名を「埴生女屋神社」と改められたが、氏子の請願により、明治28年(1895年)に現在の上一宮大粟神社となった。(Wikipedia上一宮大粟神社より引用)
上一宮大粟神社の正式な創建年は不明ですが、式内社で神亀5年(728年)には聖武天皇の勅願所となっています。少なくともそれよりも前から地域を代表する神社として崇敬されてきました。
現在は鳴門市の大麻比古神社が阿波の一の宮ですが、古くは上一宮大粟神社が一の宮でした。参拝に不便な場所にあるため、国府(現在の徳島市国府町)に近い場所に「下一宮」として創建されたのが徳島市一宮町の一宮神社といわれています。
また、上一宮大粟神社は式内大社・天石門別八倉比売神社の論社のひとつです。
上一宮大粟神社の御祭神
上一宮大粟神社の御祭神は大宜都比売命(オオゲツヒメノミコト)。
五穀や養蚕の起源とされる神で、大宜都比売命とは「大いなる食物の女神」という意味。伊勢神宮外宮にお祀りされている豊受大神(トヨウケノオオカミ)と同神とされ、天照大神の食事を司っています。
大宜都比売命は国産み神話でおなじみの伊弉諾(イザナギ)尊と伊弉冉(イザナミ)尊から生まれた神で、古事記にも「大宜都比売は阿波である」と書かれている、阿波国・徳島県にとって特別な神さま👏
古事記には名前だけしか書かれていないか一度しか出てこない神々が多いなか、具体的なエピソードとともに複数回登場するとても重要な神ですが、最期は素戔嗚尊(スサノオノミコト)に殺されてしまいます😢
オオゲツヒメを主祭神としてお祀りしている神社は徳島県にしかなく、上一宮大粟神社と一宮神社、鳴門市の阿波井神社だけ。なかでも上一宮大粟神社が本家本元、オオゲツヒメが降臨した聖地です✨
上一宮大粟神社の御利益
大宜都比売命は衣食、農業、商売、開運の御神徳がある神さまで、縁結びや安産の守護としても信仰されています。
オオゲツヒメは大粟神社の伝承では「光り輝く美しい女神」といわれることから、美の神さまでもあります✨美容や芸術など、”美”に関することも守護してくださいます。
上一宮大粟神社の見どころ
上一宮大粟神社で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
大鳥居と狛犬
駐車場にある巨大な鳥居は遠くからでも見え、目印になります。巨大な鳥居なので扁額もビッグサイズ。電柱より高さがある鳥居、なかなかお目にかかれません😂
大鳥居の先には独特なお顔の狛犬が。かなり古そうですが、年代は読み取れませんでした。
狛犬の近くには徳島の神社でおなじみの地神塔があります。
地神塔は必ず「天照大神」の面が北向きに安置されているので、大粟神社が北東向きに鎮座しているのがわかりやすいです。
聖地感あふれる参道
大鳥居をくぐると、すぐに二の鳥居と随神門があります。随神門の隣に見える細い上り坂は境内まで続いているので、ここから車で上がることもできます。
門には左右に随神がいらっしゃいました。色白な丸顔がかわいい。
随神門を抜けると、急角度な坂道が待ち構えています。
最初は未舗装の坂道、続いて段の高さがランダムな手ごわい石段。昔はふもとまで石段があったそうですが、戦争中の供出で持って行かれて以降そのままだとか。
一歩がかなり大きく、見た目以上にハードな道のりでした。体力に自信がない方は、車で境内まで上がるのがおすすめです(マジで)。
苔むした石段と、両側にそびえる杉の木が聖地感をかもし出していていい感じ。大粟山を背にした拝殿が見えてくると気がひきしまります。
神秘的でとても美しい光景なんですが、雨のあとはかなり滑るので足もとにご注意を。
拝殿と本殿
ハードな石段を上りきると、すぐ正面に立派な拝殿が見えます。このときはいい感じに光が差していて、やたらと神々しくなりました✨
拝殿の左に無造作に転がっている大きな石は30年くらい前に山の上から落ちてきたものだとか。ワイルドだな😂
拝殿にはかなり手の込んだ彫刻があり、上一宮大粟神社の格の高さがうかがえました。都会の有名神社のような豪華さはないですが、地域で長年大切にされて、受け継がれてきたのがわかります。
天井は色とりどりの絵で埋めつくされていて、カラフルできれいでした。
花鳥風月的な図案が多いですが、ちょいちょい力士や岩をかついだ男性のような力持ちが混じっているのは意味があるのかな?
御本殿は山の緑に赤が映えます✨
御本殿が稲荷神社のように真っ赤なのはオオゲツヒメのお姿が大きな狐であるため(オオゲツヒメのお使いである説も)で、上一宮大粟神社は全国の稲荷神社の元社ともいわれています。
大粟神社の言い伝えでは「オオゲツヒメは黄金の狐を遣わして国の危機を救う」といわれているそうです。
狐といえば、あの弘法大師も『鉄の橋が架かるまで帰ってくるな』といって狐を四国から追い出したという伝説もあり、気になりますね🤔
2つの御神木
真っ赤な御本殿の奥には注連縄が巻かれた大きな杉の御神木があります。新しい御朱印のモデルとなった御神木はこちらですね。
境内にも注連縄つきの別の御神木があり、御本殿奥の御神木とちょうど向かい合う位置にあります。
こちらは杉ではなくイチョウの木。「ラッパイチョウ」というとても珍しいイチョウで、葉っぱがくるっと丸まってラッパのような形をしているそうですよ。紅葉の時期に見てみたいですね。
境内社・結びの大御社
拝殿の右奥には小高い位置に境内社があります。こちらにお祀りされているのが水の神である豊玉姫(トヨタマヒメ)、御朱印もいただけます。
拝殿と結びの大御社の間には苔むした井戸があり、石碑に書かれた由来によるとこれは「天の真名井」だそうです。
『なんでここに?』と不思議に思いますが、上一宮大粟神社が鎮座する「神山町」や「神領」という地名も何やらいわくありげな感じですし、ここには何かがあるのかもしれません。そんな雰囲気がある場所です。
ここからさらに山の上へと続く階段がありますが、上がっていくと真名井の水源があって水の神さまがお祀りされているそうです。
結びの大御社にはピカピカの亀さんがいました🐢
境内社・粟神社
拝殿と社務所の間にある小さなお宮が粟神社で、こちらには大物主神(オオモノヌシノカミ)がお祀りされています。御朱印もいただけます。
神仏習合の歴史を感じる
上一宮大粟神社のすぐ隣には四国三十三観音霊場第4番札所神宮寺があり、境内はつながっています。
神社とお寺の真ん中あたりにある鐘楼は当然神宮寺のものと思っていましたが、弁天池を境にして神宮寺の境内に入るそうなので、まだここは上一宮大粟神社です。石碑にも大粟神社の鐘楼であるとの由来が書いてありました。
神社なのに立派な鐘楼、神仏習合色が残っていますね。
謎の狐
鐘楼の隣には、赤い鳥居が目立つ瑜伽大権現(ゆがだいごんげん)が鎮座しています。こちらは神宮寺が管理している祠だとか。
小さなお社の中には、なぜか白い狐。
瑜伽大権現は山岳信仰と修験道が合体した神仏習合の神、阿弥陀如来・薬師如来が本地仏なので狐とはまったく関係がありません。大宜都比売は狐の姿をしているといわれていますから、意味深ですね。
この赤い鳥居もやっぱり稲荷神社を連想しますよね🤔
徳島県西部の山・剣山(つるぎさん)信仰の「劔山大権現」の札も一緒に祀られていて、さらに謎が深まります。
ここには何かがある、と思える不思議な場所でした。
まとめ
上一宮大粟神社は阿波国の祖神をお祀りした、とても歴史ある神社です。
宮司さんがご不在の場合が多いので御朱印をいただくのは難易度が高いですが、聖地感あふれる境内は見どころがたくさんあるので、一度参拝してみては。
神山町は車以外でのアクセスが不便な場所ですが、歴史ある神社仏閣が多く、御朱印がいただける寺社もたくさんあるのでおすすめですよ💁♀️
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