四国八十八か所霊場第12番札所焼山寺は標高938mの焼山寺山のほぼ頂上にあります。
四国霊場のなかで3番目に高い場所にあるお寺で、「遍路転がし」と呼ばれる難関のひとつ。車でもアクセスが不便なお寺ですが、そのぶん無事にお参りできたときの達成感があります。
民家がほとんどない山の上にあるのでお遍路さん以外の人気がなく、まさに「聖地」といった雰囲気が味わえますよ💁♀️
焼山寺へのアクセス
Googleマップで見た時点で、とんでもない山の中にあることがわかると思います。一部ガードレールすらない細い山道を通るので、運転にはくれぐれもご注意を。
- 藤井寺から焼山寺へ車で向かう場合はおよそ41km、国道192号線を石井町方面から県道20号線へ進み、国道438号線へと進みます。
- 徳島自動車道徳島インターから焼山寺まではおよそ42km、国道438号線を神山町方面へ進みます。
国道438号線からは城西高校神山分校の隣の雑貨店を右折して、焼山寺山へと入ります。
周囲には焼山寺への案内標識が複数あるので、入り口までは迷わずに行けるでしょう。山道なので傾斜がきつく、道幅も狭いですが途中に離合できる場所はあります。
焼山寺の駐車場
焼山寺には参拝客が利用できる駐車場があります(合計70台~80台)。
公共交通機関でのアクセス
焼山寺の近くには駅がないため、公共交通機関で行く場合はバスを利用します。
バスの本数が少ないため、乗り換えの接続でミスをするとたいへんなことになるので、バスを利用する場合はしっかりと計画を立ててください。
- JR徳島駅から徳島バス神山線に乗車し、「寄井中」バス停で下車(乗車時間1時間10分)→神山町営バスに乗り換えて終点「焼山寺」バス停で下車(乗車時間15分)、バス停から焼山寺まで徒歩1時間30分
前後の札所
11番札所藤井寺から12.9km(車の場合は41km)
13番札所大日寺まで20.8km
焼山寺の御朱印
焼山寺は仁王門をくぐってすぐ左手に納経所があります。
納経に対する姿勢の厳しさは四国霊場屈指です。基本的に代参を認めていないため、人数分以上の納経は受け付けていません。奥の院や番外札所も同様で、納経をお願いするとお参りしたかを念押しされました。
焼山寺では御本尊のほか、
- 奥の院・蔵王権現
- 番外札所・杖杉庵
- 一本杉庵(浄蓮庵)
- 柳水庵
の納経をしています。お参りした場合は忘れずに💁♀️
焼山寺の御影
焼山寺で納経をすると御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
焼山寺について
焼山寺は大宝年間(701年~704年)に役行者(役小角)が蔵王権現を祀って庵を結んだことが始まり。
その後、火を吐いて付近の村を襲う大蛇がいると聞いて弘法大師が退治に向かい、摩蘆(まろ)の印を結びながら進むと大蛇は山頂の岩に閉じこもって抵抗しました。虚空蔵菩薩と三面大黒天に祈願して大蛇を岩に閉じ込めることができ、お礼として虚空蔵菩薩の像を刻んで御本尊とし、堂宇を建立しました。
焼山寺は足利尊氏が祈願所とし、江戸時代には徳島藩主・蜂須賀家の帰依を受け保護されました。
正式には摩蘆山(まろざん)正寿院(しょうじゅいん)焼山寺(しょうさんじ)といい、高野山真言宗のお寺です。
・摩蘆山=弘法大師が摩蘆の印を結んで立ち向かったことに由来
・焼山寺=大蛇が火を吹いて山を焼いたことに由来
焼山寺の御本尊
焼山寺の御本尊は虚空蔵菩薩坐像。秘仏のため、本堂では前立本尊を拝顔できます。
仁王門前の階段の途中にも虚空蔵菩薩像があります。
焼山寺の見どころ
焼山寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
参道の十三仏と動物園
焼山寺の駐車場から本堂までは少し距離があり、ゆる~い坂道を10分程度歩きます。その途中には不動明王から始まる十三仏像があります💁♀️
注目なのが涅槃釈迦如来。足がちゃんと足下二輪相(そくげにりんそう)の模様入りで、芸が細かい!😲
参道にはいろんな動物が隠れていました🐸猿やうさぎなどがいるので最初は十二支かと思いましたが、カエルやカタツムリもいて、どういうチョイスなのか不明です。
歩きながら探してみてくださいね🙋♀️
仁王門
長い参道を歩き、70段程度の階段を登るとようやく仁王門にたどりつきます。過酷な山の上にあるためか傷みが激しいですが、杉の巨木に囲まれて威風堂々とした雰囲気でした。
やや色あせていますが、迫力ある表情の金剛力士像が。昔はかなり鮮やかな色だったようですね。
天然記念物の杉の巨木
参道には樹齢300年~500年の杉の巨木が並んでいて、圧巻の眺め!この杉の並木は徳島県の天然記念物に指定されています。
本堂に続く階段の手前には謎のブランコ。ここに子供は来る…のか…?🤔
本堂の左右に大師堂と三面大黒天堂が並ぶ境内
本堂の前まで来ると視界が開け、境内が見渡せます。本堂の背面は山に囲まれていて、雪が降っていたのでさらに静寂に包まれた神々しい雰囲気でした✨
本堂の右に大師堂、さらに右に十二社神社があります。
大師堂にはこんなかわいい像がいました🥰
狛犬がかわいい十二社神社
大師堂の隣にある十二社神社には天神七代、地神五代の合わせて12の神さまがお祀りされています。
創建年は不明ながら、熊野大社の御分霊という伝承があります。天正年間までは別当寺である焼山寺に十二社神社についての記録がありましたが、文禄4年(1560年)の火災で焼失しています。
現在の社殿は万延元年(1860年)に建立されたもので、歴史を感じます。
十二社神社は整列した狛犬がかわいい。中央に大きな子が配置されて、山型になっています😆5対の狛犬があることから、かつては広大な敷地を持つ神社だったと思われます。
焼山寺の鐘の伝説
焼山寺の本堂前にある鐘は徳島藩主・蜂須賀家によって慶安2年(1649年)に寄進されたもの。
蜂須賀公は同時に2つの鐘を作り、焼山寺と徳島市内のあるお寺に寄進しました。焼山寺の鐘はとても響きがよく、遠く徳島市内まで音が届くほどだったのに、もうひとつの鐘は今ひとつ😗蜂須賀公が『鐘を取り替えたい』といい焼山寺まで取りに来ましたが、焼山寺の鐘は「いなん、いなん(帰らない、帰らない)」と鳴いて嫌がったとか🥺
昭和16年には第二次世界大戦で金属供出の命令が下ったため、鐘を運ぼうと馬車につんだところ馬が苦しみだしたため断念され、難を逃れています。
徳島県の文化財に指定されたため今あるのは2代目の鐘ですが、初代に負けずこの鐘もいい音がします✨
弘法大師が祈願した三面大黒天
本堂の左には三面大黒天を祀ったお堂が。屋根の下、目立つところに大きな打ち出の小槌がついていますね。
御本尊は弘法大師作と伝わる三面大黒天。焼山寺の大蛇を退治するとき、弘法大師が祈願したのがこの三面大黒天でした。
本物は秘仏のため、前立本尊を拝顔できます👏
お前立は三等身くらいで、なんだかかわいらしい像ですが大黒天(正面)、毘沙門天(左)、弁財天(右)が合体したとても珍しい仏さま。とはいえ、顔が3つあるので、ちょっと不気味な感じもしますね😨
顔だけでなく手も3対あり、それぞれの手には鎌や剣、打ち出の小槌などいろいろなアイテムを持っています。そのぶん、御利益もいっぱいありますよ✨
勝負運:大黒天は本来武神で、毘沙門天にも戦勝祈願の御利益があります。
金運アップ:大黒天、毘沙門天、弁財天は財宝に関する御利益があり、三天が合体した三面大黒天は最強の金運をもたらすといわれています。
良縁に恵まれる:出雲大社にお祀りされている大国主は縁結びの神さま。大黒天は大国主と同一とされることから、同じ御利益があるとされます。
納経所の賓頭盧尊者
焼山寺の賓頭盧(びんずる)尊者は本堂ではなく、なぜか納経所前にいます。
やや顔色が悪いびんずるさんですが、なで仏なのでしっかりなでておきましょう。自分の体の悪いところと同じところをなでると病気を治してくれるという御利益があります。
小坊主くん
本堂周辺からは追い出され、ブランコの近くにひっそりとたたずんでいました😂
まとめ
「遍路転がし」の難所である焼山寺は、たどりつくのが難しいですが、とても参拝しがいがあるお寺。
参道の十三仏や謎の動物オブジェ、境内にも鐘や十二社神社など見どころがたくさんあり、四国霊場では他にない「三面大黒天」は必見です。
冬は道路の凍結や積雪で危険なので、焼山寺の参拝は春から秋にかけてがおすすめですよ。
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