四国八十八か所霊場第15番札所国分寺は聖武天皇の勅願で全国に作られた国分寺のひとつで、正式には「阿波国分寺」。四国霊場では四国四県にある国分寺がそれぞれ札所となっています。
かつては二町四方の寺領を持つ大きなお寺でしたが、現在の阿波国分寺の境内は小ぢんまりとしてコンパクト。それでも、国の名勝に指定されている庭園があったり、四国霊場では唯一の「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」をお祀りしたお堂もあります💁♀️
工事中は国分寺庭園も拝観できないので、このページでは庭園については紹介していません🙇♀️
国分寺へのアクセス
国分寺は住宅街の中にあり、周辺の道路は道幅が狭いのでご注意を。
- 徳島市中心部から車で15分程度
- 徳島自動車道藍住インターから7.9km
- 高松自動車道板野インターから11.1km
国分寺の駐車場
国分寺には参拝客が無料で利用できる駐車場があります。駐車場というよりは「舗装されていない広場」という感じですが、普通車10台以上は停めることができます。
公共交通機関でのアクセス
国分寺に車以外で行く場合、最寄り駅からは少し距離があるのでバス利用がおすすめです。
・JR徳島線府中(こう)駅から2.6km
・JR徳島駅から徳島バス神山線・天の原西線に乗車し「国分寺前」バス停で下車、400m
前後の札所
14番札所常楽寺から0.8km
16番札所観音寺まで1.8km
国分寺の御朱印
国分寺の納経所はややわかりにくく、大師堂に向かって左奥。
国分寺の御影
国分寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
国分寺の納経受付時間
国分寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
国分寺について
天平13年(741年)、聖武天皇が発した国分寺建立の詔により諸国に建てられた国分寺の一つ。寺伝では行基が自ら薬師如来を刻んで開基し、聖武天皇から釈迦如来像と大般若経、光明皇后の位牌厨子が納められたと伝わっている。当初は法相宗の寺院として七堂伽藍を有する大寺院であった。弘仁年間(810 – 824年)に空海(弘法大師)が巡錫した際に真言宗に改宗したとされる。
史実としては、正確な成立過程は不明であるが、『続日本紀』に天平勝宝8年(756年)、聖武天皇の周忌に際し、阿波国を含む26か国の国分寺に仏具等を下賜したとの記載があり、遅くともこの頃には完成していたことがわかる。
天正年間(1573 – 1592年)土佐の長宗我部元親率いる軍の兵火によって焼失。長らく荒廃していたが、寛保元年(1741年)に徳島藩主蜂須賀家の命により郡奉行速水角五郎が復興にかかり、丈六寺の吼山養師和尚が再建したことから宗派も現在の曹洞宗となった。(Wikipedia阿波国分寺より引用)
国分寺は天平13年(741年)に聖武天皇が全国に作った国分寺のひとつで、行基菩薩が薬師如来像を刻んで本尊とし、開創したと伝わっています。
現在はコンパクトなお寺ですが、かつては七重塔がある広大なお寺で、国分寺を中心に二町四方の寺領があったといわれています。
天正年間(1573年~1592年)には長宗我部元親による兵火で焼失。その後長らく荒廃したままでしたが寛保元年(1741年)に徳島藩主・蜂須賀氏によって復興されました。境内全体が徳島県の史跡となっています。
正式には薬王山(やくおうざん)金色院(こんじきいん)国分寺といい、曹洞宗のお寺です。
国分寺の御本尊
国分寺の御本尊は薬師如来。
聖武天皇が国分寺に納めたのは釈迦如来であり、全国の国分寺では釈迦如来を御本尊としているお寺が多いなか、阿波国分寺では薬師如来が御本尊です。
国分寺の見どころ
国分寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
勅願所アピール
国分寺は歴史あるお寺にしては質素な山門。
門側には塀などがなく、わりと開放感がある境内入り口です。一方、デカデカと「聖武天皇勅願所」と書かれた存在感ありすぎな石碑もお出迎えしてくれます😂
門にも巨大な菊の御紋がデーーーンと。勅願寺には瓦などに菊の御紋があるものですが、国分寺のこれは四国霊場最大かもしれません。
七重塔の礎石
鐘楼の手前に無造作に置かれている大きな石。これはかつて国分寺にあったという七重塔の礎石で、国分寺のすぐ近くにある興禅寺前の田んぼから見つかりました。
本堂は工事中
国分寺の本堂は文化7年(1810年)に再建されたものですが、現在修理中でこんな感じの光景です。
工期:平成28年(2017年)10月13日から2020年3月31日までの予定
お寺のメインが工事中だとちょっとがっかりしますが、屋根から降ろされたシャチホコや瓦が間近で見れたのはラッキーかも。シャチホコが思っていたより巨大で、瓦はものすごい数でした。
近くで見ると、シャチホコも瓦も傷んでいるのがよくわかりますね。修理が終われば、このシャチホコもきれいになるんでしょうか。
工事中は本堂の隣にある烏枢沙摩明王堂が仮本堂となっていました。
以前の本堂では御本尊を拝顔できたようですが、烏枢沙摩明王堂は内部が見えませんでした。
トイレの神さま「烏枢沙摩明王」
工事中、御本尊がお祀りされている仮本堂となっている烏枢沙摩明王堂にはトイレの神さまとして信仰されている「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」がお祀りされています。
天正の兵火で烏枢沙摩明王堂だけは焼失せず、御本尊も無事でした。烏枢沙摩明王堂は寛保元年(1741年)以前に建てられていて、国分寺にある建物ではいちばん古いものです。
四国霊場の他のお寺ではトイレにひっそりとお祀りされていることが多いですが、国分寺では立派なお堂にお祀りされていました。御本尊は弘法大師作と伝わる烏枢沙摩明王像ですが、お堂の内部は見えず拝顔はできません。
国分寺ではトイレに貼る烏枢沙摩明王のお札をいただけます。サイズは”お札”というにはかなり大きめで、B5サイズくらいあります。
国分寺はお守りなどの授与品は表に並んでいないので、希望する場合は納経所で申し出て下さい💁♀️
国分寺以外にも四国霊場で烏枢沙摩明王のお札を拝受できるお寺があります。
- 9番札所 法輪寺
- 24番札所 最御崎寺(シールタイプ)
- 27番札所 神峯寺
- 30番札所 善楽寺
- 31番札所 竹林寺(シールタイプ) 他
鎮守堂
烏枢沙摩明王堂の隣には瑜伽大権現、秋葉大権現、白山大権現、大聖歓喜天がお祀りされたお堂があります。
前掛けと千羽鶴が大量に奉納されていて、とてもカラフルでした。お堂の中には神棚があってそれぞれの神さまがお祀りされているそうですが、見ることはできません。
- 瑜伽大権現(ゆがだいごんげん)
備前国(岡山県東部・兵庫県西部)瑜伽山の山岳信仰と修験道が合体した神仏習合の神。阿弥陀如来、薬師如来が本地仏で厄除けの御利益があります。 - 秋葉大権現(あきは/あきばだいごんげん)
遠州(静岡県)秋葉山の山岳信仰と修験道が合体した神仏習合の神。観音菩薩が本地仏で、火難除けの御利益があります。 - 白山大権現(はくさんだいごんげん)
岐阜県・石川県にまたがる白山の山岳信仰と修験道が合体した神仏習合の神。十一面観世音菩薩が本地仏で、厄除け・延命長寿の御利益があります。 - 大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)
ヒンドゥー教の神・ガネーシャが仏教に取り入れられ、大日如来、観自在菩薩が本地仏。どんな願いごとでも叶えてくれるといわれるが、願掛けをしたときの約束を破るとかなりハードな罰を当ててくることで有名です😂
どの神さまも四国霊場ではあんまりお祀りされていない珍しいラインナップな気がする…🤔
建て替えられたばかりの大師堂
平成8年(1996年)に火災で全焼し、長らく烏枢沙摩明王堂が仮大師堂となっていました。平成26年(2014年)にようやく再建され、新しくなっています。
大師堂のすぐ後には民家があり、視界をさえぎるものがなく開放的な境内となっています。
国指定名勝の国分寺庭園
国分寺には立派な庭園があり、国の名勝に指定されています。
参拝時は庭園と本堂周辺が工事中だったので拝観できるのかがわからず、時間の都合もあって拝観できませんでした。写真を見る限り、本堂を背景に阿波の青石が豪快に配置されているのが魅力の庭園なので、工事が終わってから拝観しようと思います。
参考までに、庭園の拝観方法についてまとめておきます。
・予約は不要、納経所で申し出る
・庭園拝観料:300円
・見学時間:9:00~16:30まで
小坊主くん
国分寺には仮本堂と大師堂、納経所バージョンのフルセット小坊主くんがいます。
全員おそろいの帽子をかぶっていました。
まとめ
国分寺は聖武天皇勅願で全国68か所に作られたもののひとつで、長い歴史があるお寺ですが境内は意外なほどあっさりとしていました。見どころは少ないですが、四国霊場唯一の烏枢沙摩明王堂や四国霊場では珍しい瑜伽大権現がお祀りされた鎮守堂があります。
境内の外側から見ると白い壁がどこまでも続いていて、現在もお寺の敷地はかなり広そうでした。今回拝観できなかった庭園が広いのかもしれません。
本堂が2020年3月まで工事中なので、その間のお参りはあまりおすすめできません。工事が終わるのが待ち遠しいですね。
▼次の札所はこちら▼