四国八十八か所霊場第28番札所大日寺は高知市のお隣、香南市にあります。
難所だった室戸からだんだん離れて高知の都心部へと近づいていき、わりと街なかにあるお寺ですが、小高い丘の上にあるので、ふもとの県道からは傾斜のある細い道を上がって行きます。下界と隔てられた静かな境内は季節の花で彩られた「花のお寺」で、とても華やかでした。
四国霊場に3つある「大日寺」のひとつで、大日如来が御本尊です。
大日寺へのアクセス
近くには高知県立のいち動物園や日本三大鍾乳洞のひとつ「龍河洞」があり、目印になります。県道22号線からお寺までは傾斜のきつい細い道を進むので、普通車以上は通行できません。
高知自動車道南国インターから車で25分くらいの場所にあります。
大日寺の駐車場
お寺へ続く階段の下に参拝客が無料で利用できる駐車場があります(普通車30台分)。
公共交通機関でのアクセス
・土佐くろしお鉄道ごめんなはり線「のいち」駅から2km
・とさでん交通「野市龍河洞通」バス停から2km
前後の札所
27番札所神峯寺から37.5km
29番札所国分寺まで9.7km
大日寺の御朱印
大日寺は本堂へ向かう階段から右手に進むと納経所があります。納経料は300円です。
大日寺の御影
大日寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
大日寺の納経受付時間
大日寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
大日寺について
大日寺は天平年間(729年~749年)に聖武天皇の勅願により行基菩薩が大日如来像を刻んで堂宇を建立し、開創しました。
その後、荒廃していたものを弘仁6年(815年)に弘法大師が楠の大木に爪で薬師如来像を刻んで再興したといわれています。大日如来の縁日が28日であることから、弘法大師が大日寺を28番札所に定めた説がありますが、同じ寺号で大日如来を本尊とする4番と13番の立場よ。
慶長年間(1592年~1615年)には土佐藩の祈願所として栄えましたが、明治時代の神仏分離では一時的に廃寺となり、明治17年(1884年)に再興されています。廃寺となったときも地元の人々は本堂を「大日堂」とし、御本尊を守り続けました。
自然豊かな境内にはさまざまな草木が植えられていて、「花のお寺」としても有名。境内には高知県の天然記念物に指定されている大きな杉の木があり、高さは60m。県の天然記念物では最大級です。
正式には法界山(ほうかいさん)高照院(こうしょういん)大日寺(だいにちじ)といい、真言宗智山派のお寺です。
大日寺の御本尊
大日寺の御本尊は金剛界大日如来。寺伝によると御本尊は行基菩薩の作と伝わっていますが、技法の特徴から実際は平安時代後期のものとみられています。
高さが約146cmあり、中国四国地方では最大級の寄木作りの大日如来像ですが、残念ながら非公開。ふだんは本堂奥の収蔵庫に安置されています。2014年には御開帳されていましたが、次回の開帳は未定。
御本尊は脇仏の聖観音とともに国の重要文化財に指定されています。聖観音も高さ約170cmのビッグサイズで、こちらは弘法大師の甥にあたる智証大師・円珍の作です。
大日寺の見どころ
美しい山門
駐車場から本堂へ向かうにはこの石段を上ります。階段の途中にはシンプルな山門があり、門には「法界山」の扁額があります。
石の色合いが山の緑ととけこんで、とても美しい光景でした。春は桜、秋は紅葉で四季の移ろいが感じられそう。手すりがなくて上りにくいランダムな石段ですが、草木を眺めつつ難なく上れました。
山門の向かいにはお遍路用品を扱う売店があったので、足りないものや必要になったものがあれば調達可能。このお店オリジナルの菅笠があるそうで、めっちゃ気になります。
伝統工法で再建された本堂
大日寺の本堂は平成9年(1997年)に再建されたばかりのかなり新しいもの。釘を一切使わない伝統的な工法によって、檜と松の木組みだけで作られているそうです。
豪快な屋根の反りが印象的ですが、これは平安時代の堂宇の特徴を再現しています。
平日は扉が閉まっていますが、土日に参拝すると外陣に入って前立本尊を拝顔できますよ。
2代目藩主寄進の大師像を祀る大師堂
本堂の手前には大師堂があります。大師堂も昭和59年(1984年)に改修されたもので、まだまだきれいでした。
大師堂の御本尊である弘法大師像は2代目土佐藩主・山内忠義が寄進したもので、拝顔できます。
鎮守堂
本堂の奥の一段高い場所には鎮守堂の日吉神社があります。
小さなお社には真新しい灯籠と幟が奉納されていましたが、周辺に由緒書きなどはなく、どんな神さまがお祀りされているのかは不明です。
大師堂と鎮守堂の間には大日如来と地蔵菩薩の銅像が並んでいました。飾りにまだピカピカ感があり、最近奉納されたもののようです。
地蔵堂
大師堂の向かいにある六角形のお堂には地蔵菩薩がお祀りされています。昭和61年(1986年)に建立された新しいお堂です。こちらは護摩堂を兼ねていて、月に一度護摩供養が行われています。
納経所前の庭園が美しい!
本堂の少し手前で右に進むと納経所があります。
納経所には小さな庭園があり、これがまた素晴らしい!大日寺でいちばんのお気に入りスポットです。「花のお寺」にふさわしくとても華やかで、あまりの美しさにしばらく見とれてしまいました。
一面に広がる苔も美しくて、庭園マニア歓喜では。苔がフカフカの帽子みたいなかわいい灯籠もありますよ。
大日寺の納経所はセルフサービスですがコーヒーやお茶などのお接待があり、ありがたいです。四国霊場のお寺でも確実にトップクラスのお庭なので、お時間があればコーヒーをいただきつつ少し見学してみては。
小坊主くん
久しぶりに小坊主くん不在のお寺でした。残念。
奥の院あります
大日寺には奥の院「爪彫り薬師」があり、弘法大師が楠の大木に爪で彫ったという薬師如来がお祀りされています。
「奥の院」というと、場合によってはものすごいアクセス不便山奥にあったりしますが、大日寺の奥の院は納経所から徒歩5分くらいの場所にありますよ。奥の院の納経と御影の授与は大日寺で行っています。
まとめ
大日寺は小高い丘の上にあり、わりと街なかの立地ながら静かな環境にありました。
建物は明治時代に再建されたものばかりなため境内はさっぱりとしていますが、「花のお寺」といわれるほど自然豊かで季節の草花がたくさんあり、華やかなお庭が見どころのひとつです。
奥の院「爪彫り薬師」がすぐ近くにあるので、あわせて参拝してみては。