四国八十八か所霊場第23番札所薬王寺は徳島県の最後の札所、徳島県南部の美波町(旧日和佐町)にあります。
薬王寺の広い境内は見どころがいっぱいで、初詣や厄年の厄払い祈願で年間100万人が参拝する徳島県を代表するお寺です。
”厄除け祈願”や”厄払い”といえば、もちろんお寺で申し込みをして祈願してもらう方法もありますが、厄除けの根本道場といわれる薬王寺ではお参りするだけで厄除けができるスポットがあります!
詳しくご紹介するので、ぜひお参りの参考にしてくださいね💁♀️
薬王寺へのアクセス
徳島自動車道徳島インターから国道55号線をひたすら南下して1時間30分程度、徳島の中心部からはかなり離れたところにあります。要所要所に案内標識や看板がたくさんあるので、迷わず行けます。
薬王寺の駐車場
無料で利用できる大型駐車場があります(500台分)。第1~第3駐車場まであり、お寺にいちばん近いのが薬王寺温泉がある第1駐車場でした。
公共交通機関でのアクセス
薬王寺は最寄り駅から徒歩圏内で、交通インフラが貧弱な徳島では珍しく車がなくても行けます。
- JR牟岐線日和佐駅から400メートル、徒歩5分
前後の札所
22番札所平等寺から19.7km
24番札所最御崎寺まで75.4km
薬王寺の御朱印
薬王寺の納経所は本堂から一段下がった本坊の隣にあります。
仁王門前にある大きな売店にも納経所があり、そちらでも書いていただけます。
- 阿波七福神霊場・寿老人
- 奥の院・泰仙寺
の納経もいただけます。
薬王寺の御影
薬王寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
薬王寺の納経受付時間
薬王寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
薬王寺について
神亀3年(726年)に聖武天皇の勅願により行基菩薩が創建し、弘仁6年(815年)に弘法大師が平城上皇の勅命によって薬師如来像を彫像して再興しました。
文治4年(1188年)には火災で堂宇が焼失し、後醍醐天皇によって再建されています。嵯峨天皇、淳和天皇からの信仰も厚く、歴代の天皇が薬王寺での厄除け祈願のために勅使を下向させました。
阿波国に自ら御遷幸され、都に帰ることなく崩御した土御門上皇も嘉禄2年(1226年)に薬王寺へ参詣しています。
正式には医王山(いおうざん)無量寿院(むりょうじゅいん)薬王寺(やくおうじ)といい、高野山真言宗のお寺です。
薬王寺の御本尊
薬王寺の御本尊は薬師如来で、2体あります。
文治4年(1188年)の火災のとき、御本尊は玉厨子山(たまずしやま)へと自ら飛んで行き焼失を免れたという伝説があります。その後、後醍醐天皇が堂宇を再建するときに新しい御本尊を彫像したところ、元の御本尊が帰ってきて後ろ向きに厨子に入って自ら扉を閉めたといわれています。
ものすごいアクティブな御本尊ですが、現在は「後向き薬師」と呼ばれて秘仏となっています。
薬王寺の見どころ
薬王寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
修復されたばかりの仁王門
仁王門は平成24年(2012年)12月に修復されたばかりで、瓦がピカピカ✨
金剛力士像も一緒に修復されたのか彩色がきれいで、阿形が手に持っている金剛杵(こんごうしょ)も金ぴかでした。
仁王門の前にある石碑にも注目、「不許酒肉五辛入界内」と書かれています。
薬王寺が昔から厳格な修行の場だったことがわかりますね。
薬王寺の3つの厄除けスポットは必見!
お参りするだけで厄除けできる、薬王寺の見落とし厳禁なスポットをご紹介します💁♀️
薬王寺といえば「厄除け坂」
薬王寺といえば、はずせないのが「厄除け階段」。薬王寺の厄除けスポットのひとつで、むしろこれが参拝のメインイベントと言えるかもしれません。
厄除け階段に薬師如来の御真言を唱えながら一段ずつ小銭を置いていくというシステムなんですが、御真言って覚えてますか?
御真言は大きな声ではりきって唱えなくてもいいですが、せめて小声ででも口に出しましょう。無理なら脳内でも🙆♀️
まずは33段の女厄除け坂を上がり絵馬堂に到達、続いて42段の男厄除け坂を上がって本堂に向かいます。本堂からは61段の還暦坂を上がると薬王寺のシンボル、瑜祇塔へ上がれます。
女性は女厄除け坂、男性は男厄除け坂、還暦の方は男女ともに還暦坂で小銭を置いていき、後厄の場合は一段足りないので上がり切ったところで足踏みするそうです。
この”小銭を置いて厄落とし”は厄年じゃなくても推奨されているので、『最近ついてないなぁ…』と思うことがあれば厄除けのために小銭を置いてみては。
置く小銭は一円玉だけでなく、五円玉や十円玉でも大丈夫です。
臼と杵は見逃し厳禁!
女厄除け坂を上がったところにある絵馬堂には、小さな邪鬼が支える香炉と一緒に謎の臼が置かれていますよね。
こちらは何の説明書きもなく、当たり前のようにそっと置いてあります。知らないと確実にスルーしてしまいますが、これも薬王寺の厄除けスポットのひとつ!
薬師如来の御真言を唱えながら臼の中の香を年の数だけ杵でつくと無病息災が約束されるとか。御真言、覚えていますか?
\おん ころころ せんだり まとうぎ そわか/
御真言を唱えながら年を数えるのがなかなか難しくて、絶対余分についたと思う😂
あの鐘を鳴らすのはあなた
薬王寺の厄除けスポットの最後が本堂の前にある「随求(ずいぐい)の鐘」です。鳴らすとドラみたいなめっちゃいい音がして、かなりテンション上がりました😆
年の数だけこの鐘を鳴らすと厄が落ちるといわれ、大随求真言を唱えながら豪快な木の棒で叩きます。年の数を数え間違えないよう、団体さんがいない隙を見計らってゆっくりチャレンジするのがおすすめ。
御真言は鐘のところにうっすらと書いてあるので、見ながら唱えることができました。
うん、これは覚えるの絶対無理😂
荘厳な本堂
男厄除け坂を上がると、正面に立派な本堂が見えます。文治4年(1188年)の火災以降も何度か火災にあっていて、現在の本堂は明治41年(1908年)に建てられたもの。
本堂から振り返ると、徳島の札所では今まで見ることがなかった海が見えます。一番札所からずいぶんと遠くまで来たことが実感できますよ。
本堂の中では絵馬やおみくじなどがセルフサービスで購入できます。絵馬からくりぬかれた「厄」がいっぱい、なんとなく禍々しい。
薬王寺のおみくじはまさかの50円、激安でした。
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本堂の裏側を忘れずに!
薬王寺の御本尊は2体あるといいましたね。
後ろ向きに戻ってきたという秘仏の「後向き薬師」は本堂奥の奥殿に安置されています。奥殿は近くまで行くことができるので、裏側も要チェックですよ。
本堂奥でもうひとつチェックしたいのが「肺大師」。小さな弘法大師像がお祀りされたお堂の下には湧き水があります。この水はラジウムを豊富に含んでいて、肺病にきくといわれる霊水です。透き通っていてきれいな水でした。
容器を持参すれば持ち帰りもOKです。
びんずるさん
薬王寺の賓頭盧尊者は本堂と大師堂の間にいました。「びんずるさん」と呼ばれるなで仏で、体の悪いところと同じ場所を撫でると病気が治るといわれています。
びんずるさんの隣には寿老人。寿老人には厄除けや無病息災、長寿の御利益があります。こちらの寿老人は阿波七福神霊場の札所本尊です。
十王堂
地蔵堂の隣にはいろいろな石像が並んでいて、一角には地獄で死後の裁判を司る「十王」も鎮座しています。
真ん中には大きな閻魔大王。閻魔大王は死後49日目の裁判官です。
十王の最後にいるラフな格好の人、やっぱりおじいちゃんかおばあちゃんかよくわからないよ😂
3番札所金泉寺でも黄金の井戸の隣に十王堂があり、カラーの十王像が拝めます。
魚籃観音
本堂の前には大きな観音像があります。
この観音さまは魚がいっぱい入ったカゴを持ち、昭和の主婦のような変わったスタイルで「魚籃(ぎょらん)観音」といいます。もちろんこの謎のいでたちには理由があり、唐の時代の中国で仏が美しい乙女に姿を変えて魚を売りながら仏法を広めた、という故事にちなんでいます。
漁師や漁業関係者の信仰が厚く、海辺のお寺によくお祀りされているイメージ。徳島県の札所では薬王寺だけでしかお目にかかれないレア観音です。
ウミガメが支える大きな瑜祇塔
薬王寺といえば、この真っ赤な瑜祇(ゆぎ)塔。四国八十八か所霊場開創1150年を記念して昭和39年(1964年)に建立されました。高さは29メートルあり、遠くからでも見えて日和佐のシンボルとなっています。
瑜祇塔とは真言宗の経典「瑜祇経」を形にしたものですが、ちょっと難しい🤔
瑜祇教の教理を形にあらわしたものであり、経文には世の中のものみな二つの相対したものからできているが、これが一つになることによって世界の平和や家庭の幸福の基礎があると説かれている、天と地が和合して万物が豊かとなり、労使が相寄って社会の平和ともなる道理である。
瑜祇塔には上方に金剛智慧をあらわす五峯を示し、周囲に胎蔵の理論の表示である八柱を建て、これが不二を示すよう上の方が四角、下の方は円筒形の一重の塔となっている。(薬王寺公式ホームページより引用)
遠くから見ても大きな瑜祇塔、下から見ると大迫力でした。
受付や売店がある1階フロアから階段で2階へ行くと、ちょっとした展望台みたいで景色がいいです。瑜祇塔を支えるウミガメも2階にいますよ。
瑜祇塔の四方を4匹の大きな亀が支えている姿はかわいくもあり、かわいそうでもあり…。でも一生懸命支えてるよ!🐢🐢
瑜祇塔は展望台にもなっていて、本堂よりも高い位置にあるので違う目線から景色が見られますよ。
生まれ変わりを体験する「戒壇巡り」
瑜祇塔の地下では拝観料100円を納めて「戒壇巡り」ができます。激おすすめ。
黒いカーテンの先はガチで真っ暗、薬王寺の戒壇巡りはそれほど距離は長くないんですが、壁をつたう手だけが頼りで方向感覚がわからなくなる非日常的な体験ができます。
プルプルしながらゆっくり進んでいくと、ほのかな光の中に薬師如来さまが現れて、苦しいときに神仏にすがりたくなる気持ちがわかります。光ってすごい、暗闇こわい。
真っ暗な道を抜けると地獄絵図や九相詩絵巻なども展示されていて、清く正しく生きないといけないと再認識でき、まさに生まれ変わりが体験できます👏
瑜祇塔の中にも魚籃観音さまがいて、こちらは彩色があってとても華やかでした✨本堂の前にある青銅製の魚籃観音と同じ型を使って作られたものですが、鯛や伊勢エビなど魚介が盛りだくさんなカゴの中はカラーのほうがわかりやすいですね。
戒壇巡りのあと、地獄絵図や九相図などの展示物をじっくりと見ても所要時間は15分程度です。
あったような、なかったような…。これから行く方はチェックしてみてください。
小坊主くん
薬王寺には本堂と大師堂に小坊主くんがいました。
まとめ
薬王寺は徳島の札所のラストを飾るにふさわしい、広い境内に見どころいっぱいのお寺でお遍路さん以外にもいつも観光客でにぎわっています。
厄除けで有名なお寺なので厄年の厄除け祈願をする人が多いですが、境内には厄除け坂、絵馬堂の臼、本堂前の鐘と3つのお手軽厄除けスポットがあるので忘れずに巡りましょう。
時間があれば瑜祇塔まで行って、戒壇巡りも体験してみてくださいね。
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