四国八十八か所霊場第31番札所竹林寺(ちくりんじ)は高知市南東部に位置する五台山公園に隣接しています。
四国霊場で5か寺にしかないレアな五重塔やかわいらしい善財童子像など、広い境内には見どころがいっぱいあり、一日いられそうなほど充実したお寺でした。見どころにはそれぞれ「おまいりポイント」として説明書きがあって、親切でわかりやすかったです。
境内に奥の院もあり、竹林寺の納経所で御朱印がいただけますよ。
竹林寺へのアクセス
案内標識が多数あり、場所はわかりやすいです。五台山はJR高知駅から車で15分くらいの場所にあり、竹林寺の隣には牧野植物園もあります。
・高速道路を利用する場合、高知自動車道高知インターから6.2km
竹林寺の駐車場
無料で利用できる大型駐車場があります(普通車100台)。
★駐車場からお寺まで少し距離があり、仁王門の階段を上がった先も本堂までは5分程度かかります。
公共交通機関でのアクセス
竹林寺は周辺に駅がないため、車以外で行く場合はバスを利用します。
・JR高知駅から「MY遊バス」に乗車し「竹林寺前」バス停で下車、徒歩1分
前後の札所
30番札所善楽寺から6.6km
32番札所禅師峰寺まで5.7km
竹林寺の御朱印
2019年に参拝したときは本来の納経所がある書院が工事中だったので、手前にプレハブの仮納経所がありました。
★竹林寺では以下の御朱印がいただけます。
- 御本尊
- 奥の院・船岡堂
- 四国霊場十三仏(文殊菩薩)
竹林寺の御影
竹林寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
竹林寺の納経受付時間
竹林寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
竹林寺について
神亀元年(724年)に聖武天皇が唐の竹林寺で文殊菩薩に拝するという夢を見て、行基菩薩に五台山に似た山を探すように命じ、見つけたのがこの地でした。
行基菩薩はこの地が霊地であると感じて文殊菩薩像を刻み、堂宇を建立して安置しました。これが竹林寺の始まりで、その後、大同年間(806年~810年)には弘法大師が滞在し、荒廃した堂宇を修復したといわれています。
中世以降は武家からの信仰が篤く、土佐藩主・山内家からも大師堂の建立などの寄進を受けて栄えました。
正式には五台山(ごだいさん)金色院(こんじきいん)竹林寺(ちくりんじ)といい、真言宗豊山派のお寺です。
ちなみに、「土佐の 高知の はりまや橋で 坊さん かんざし 買うを見た」という歌いだしでおなじみの「よさこい節」の舞台となったのが竹林寺だそうです。
竹林寺の御本尊
竹林寺の御本尊は文殊菩薩、四国霊場で唯一の激レア御本尊です。
文殊菩薩といえば、ことわざ「三人寄れば文殊の知恵」でもおなじみの知恵を司る仏さま。また、竹林寺の文殊菩薩は切戸文殊、安倍文殊と並んで「日本三文殊」に数えられています。
残念ながら直近の御開帳は平成30年(2018年)にあり、すでに終わっています。今10代~20代の方なら次回2068年の御開帳行けるんじゃないでしょうか。昭和生まれの方は私も含めて来世に期待☆
竹林寺の見どころ
竹林寺にはこんな感じで見どころポイントが書かれていて、とても親切でした。この「おまいりポイント」は1から23まであります。ポイントごとにきちんと説明書きがあるので、詳しくは現地でご確認ください。
仁王門
駐車場から本堂へ向かうにはそこそこ急角度な階段を上ります。見上げるとちょっとげんなりしますが、苔むしていてなかなかいい雰囲気でした。
階段を上がった先には重厚な仁王門。門前には桜の木があって、春に参拝したくなりますね。この石段のあたりは紅葉も美しいそうです。
金剛力士はちょっとお疲れのご様子。
見える五智如来
仁王門をくぐるとさらに参道が続き、また階段を上がります。ちょうど正面に大きな石仏が見えますが、それがこの五智如来です。
「五智如来(ごちにょらい)」は大日如来を中心に東西南北に仏さまが並ぶ立体曼荼羅として表されることが多く、多宝塔などの堂内にお祀りされがち。なので、立体曼荼羅としては実物を見る機会はほとんどないんですが、竹林寺では珍しく石仏として屋外にお祀りされています。近くから見ることができるよ、やったね!
五智如来はセンターに大日如来、東に阿閦(あしゅく)如来、西に阿弥陀(あみだ)如来、南に宝生(ほうしょう)如来、北に不空成就(ふくうじょうじゅ)如来が鎮座されています。この五仏は金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)の中心となる重要な仏さまです。
余談ですが、金剛界曼荼羅のほかに「胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)」というものもあり、パッと見た感じ四角いのが金剛界、丸いのが胎蔵界と覚えておくと見分けられて便利。
ラブリー♡善財童子
五智如来の前には善財童子(ぜんざいどうじ)の立像があります。
善財童子は華厳経に登場する求道の志篤い少年で、文殊菩薩の指南により五十三人の善知識を訪ねて教えを乞い、ついには悟りの世界に至ります。
童子が訪ねた善知識は仏・菩薩・天人のみならず、医師や船長、童子と同じ年ごろのこどもたちはては遊女まで登場します。
無心になって道を求めるとき、目に触れるもの耳に聞くところすべてが教えを説く、いわば、自分以外のすべてのものが皆我が師であるという世界が開けてくることを童子の求法の物語は教えてくれます。
(現地案内板より引用)
善財童子はインドの長者の子として生まれましたが、あるとき仏教に目覚めます。文殊菩薩のすすめに従い、53人の指導者(善知識)に教えを乞い、段階的に仏教の修行を積んで悟りを開きました。文殊菩薩の脇侍の1人で、実在した人物ではありません。
竹林寺の善財童子像は本堂を向いてリスペクトする文殊菩薩を拝して合掌しています。この像はけっこう大きくて、子供の等身大ほどあります。このかわいらしい善財童子像をなでると仏さまの徳を授かれるという御利益があるので、遠慮なくなでられます。
本堂は重要文化財
竹林寺の本堂は国の重要文化財に指定されていて、室町時代の建立とされています。正確な建立年は不明ですが、土佐国分寺と比較して推定されたもので、どちらもこけら葺き(こけらぶき)の珍しい屋根が特徴です。
本堂の片隅には賓頭盧(びんずる)尊者もいます。「びんずるさん」と呼ばれるなで仏で、自分の体の悪いところと同じところを撫でると病気が治るといわれています。めっちゃ笑顔。
本堂の手前にある手水舎は、水鉢に龍が巻きついた変わった形でした。個性強めです。
接待所にも行ってみよう!
本堂の手前には「接待所」があります。中は参拝者が自由にお茶を飲んで休憩できるスペースとなっていて、お守りなどを授与している授与所も併設されています。
本堂では御本尊が拝顔できないので、接待所の中に文殊さまがお祀りされていました。エキゾチックなお顔立ちのブッダもいて、お線香をあげることができますよ。
接待所前には「福運招き猫」という巨大な招き猫もいます。
高知市の北村家に飼われていた猫が成長するうちに背中に「北」という文字が現れ、それから家が栄えたので猫に感謝して奉納されたものだとか。由来を書いた看板に実際の猫の写真があり、たしかに背中に「北」って書いてあるように見えました。
重厚な大師堂
本堂と向かい合うように立つ大師堂は歴史を感じる重厚なたたずまい。こちらは寛永21年(1644年)に2代目藩主・山内忠義によって建立されました。
全体に繊細な彫刻が施されていて、山内家の家紋も彫り込まれています。築350年くらいの歴史ある建物ですが、とくに文化財指定はされてないようでした。
五重塔と一言地蔵
竹林寺のシンボル的存在の五重塔は高さが31mあり、圧巻の眺め!
五重塔は四国霊場では5か寺にしかないレアなもので、徳島の札所にはなく(そもそも徳島には五重塔があるお寺がないのでは…)、お遍路では竹林寺が初対面となります。扉は開放されていますが、中に入ることはできず、近くから見ることもできませんでした。
この五重塔は昭和55年(1980年)に再建されたもので、私と同い年。謎の親近感があります。
一言地蔵
五重塔の近くには小さなお堂があり、お地蔵さんがお祀りされています。このお地蔵さんは「一言地蔵尊」といい、願いごとをひとつだけ叶えてくださいます。
地元の方が願掛けをして願いが叶った!という口コミがどんどん広がり、今のように信仰されるようになったとか。
地元の方にはお礼参りとして赤い晒しに「願解御礼」と書いて奉納する風習があるそうで、写真で見える範囲だけでも赤い布がいっぱいあるのわかりますか?とても霊験あらたかなお地蔵さんですね。
”願いごとをひとつだけ”というと、一生に一度しか願掛けができないのかな?と感じますが、一言地蔵さんはそうではなく一度にひとつだけという意味なので、願いが叶ったら次のお願いをすることも可能です。
一言地蔵さんのまわりに並ぶ、小さなこけしのような「お願い地蔵」は本堂手前の接待所で授与していただけます。願いごとを書いてお地蔵さんに納めても、そのまま持ち帰ってもOKです。
謎のブッダドーム
五重塔の近くには「ブッダドーム」という謎のドームが。ガラス製のドームの中に、接待所に安置されているブッダと似た雰囲気のエキゾチックブッダが鎮座しています。
よくわからない空間ですが、ガラス越しにキラキラと光がさしてきれいでした。水に浮かべたお花もかわいくて、完全に女子向けスポットですね。映えるよ!
神社もあります
竹林寺は境内に神社もあります。
こちらは参道にある「日吉神社」、立派な鳥居と社殿があります。日吉神社は五台山の鎮守としてお祀りされていて、もとは「山王権現」と呼ばれていました。
神社なのでもちろん狛犬もいますが、日吉神社の狛犬さんは子持ちです。子持ちの狛犬はわりと珍しいですが、まったく見かけないというほどではないですよね。
しかし、一般的な子持ち狛犬は「玉取り子取り」というスタイルで、対になる狛犬は玉を持っています。日吉神社はまさかのダブル子取り!これはかなり珍しいのでは。
阿形は子を守るように抱いていて、吽形は子を戒めるように踏んでいます。ちょっとかわいそう。。。
もうひとつ、本堂の奥には歓喜天もお祀りされています。立ち位置的には”仏教における神さま”なので、お寺なのに鳥居があるというわけです。これは竹林寺だけではなく、歓喜天をお祀りするお寺ならだいたい聖天堂は鳥居とセットになっています。
歓喜天は「お聖天(しょうでん)さん」とも呼ばれます。
お聖天さんは大根が大好物らしく、大根絶ちを誓って祈願すると『えっ?お前大根食べられないの?かわいそう!』とお思いになるのか、早く願いごとを叶えてくれるという説があります。ただし、約束を破ると重めの罰を与えてくることでも定評があるので、お聖天さんにはうかつに願掛けができません。
竹林寺では商売繁盛の願掛けでお参りする方が多いそうで、毎月1日と16日の縁日には欠かさずお参りするよう推奨されています。お供えするものも決まっていて、聖天堂にはお参りの作法が書かれています。
小坊主くん
竹林寺は小坊主くん不在でした。
奥の院あります
竹林寺の奥の院「船岡堂」は境内にあるのでお参りしやすく、御朱印も竹林寺の納経所で書いていただけます。船岡堂があるあたりは苔むした庭園が美しく、散策も楽しめました。
船岡堂について
船岡堂に祀られているのは竹林寺の中興の祖・船岡芳信(ふなおかほうしん)師。以下、お堂にあった説明からご由緒を抜粋。
船岡師は明治元年(1869年)新潟県生まれ。僧侶を志して高野山にのぼり、修行されました。明治30年(1897年)に住職として竹林寺に赴任、当時は雨が降ればお堂の中で傘をさしてお経を唱えるほどの荒廃ぶりだったそうです。これを修復するには現在の価値で20億円以上が必要で、高知県庁や東京の内務省まで出向いて協力を仰ぎ、勧進のために10年以上かけて全国行脚したそうです。
大正10年(1921年)、船岡師が亡くなる間際には「私は五台山常在守護のため即身仏となる。叶えたいことがあれば、米一升をお供えして願いをかけてくれ」と言い遺されました。
船岡堂には一升瓶に詰められたお米がいくつも置かれていて、今でも船岡師は信仰されています。
船岡堂の御朱印
こちらが船岡堂の御朱印、竹林寺の納経所でいただけます。納経料は300円です。本堂からすぐそこにあるのに奥の院の納経をする人があまりいないのか、判セットを探しておられました。
船岡堂の御影
船岡堂の納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影が無料でいただけます。船岡堂の御本尊は不動明王の模様。どことなく美味しんぼの海原雄山似のお不動さんです。
この船岡堂の御影、ちょっとサイズが大きくて一般的な御影入れには入らないです。。。どうしよう。
まとめ
竹林寺は五台山公園に隣接していて、春は桜、秋は紅葉が楽しめる自然豊かなお寺でした。
苔むした参道は雰囲気があり、広い境内には四国霊場に5か寺しかない五重塔やかわいらしい善財童子像のほか、こけら葺きの屋根が特徴の本堂、藩主が寄進した大師堂など竹林寺の長い歴史を感じることもできます。参道には神社もあり、珍しいダブル子持ちの狛犬が鎮座しています。
境内に奥の院があり竹林寺で御朱印がいただけるので、御本尊とあわせてお参りしてみては。
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