高知県室戸市|25番札所津照寺はオーシャンビューなお寺!漁師に信仰される楫取地蔵

25番札所津照寺の朱塗りの門 四国霊場

四国八十八か所霊場第25番札所津照寺(しんしょうじ)は高知県に入って2つ目の札所。室戸岬の先端にあった最御崎寺と違い、市街地にあります。

海が近い室戸市らしく、漁港が近くて本堂からは絶景のオーシャンビュー!…なんですが、本堂までは急角度な125段の階段があり、見上げると心が折れそうになります。

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津照寺へのアクセス

津照寺は幹線道路から少し奥まった場所にありますが、周辺には案内標識がたくさんあるのでわかりやすいです。

高知自動車道南国インターから国道32号線、55号線経由で約65kmあり、高知の中心部からのアクセスはやや不便。

津照寺
〒781-7102
高知県室戸市室津2652-イ

津照寺の駐車場

津照寺はお寺から少し離れた漁港が駐車場となっています。

漁港からお寺までは徒歩3分程度の距離で、すぐ近くにあります。行ってみるとどこがお寺の駐車スペースという指定はなく、どこに停めていいのかわかりませんでした。こちらは無料で利用できますが、ちょっと停めにくかったです。

★一木神社のすぐ左側に民営の有料駐車場があったので、そちらを利用しました。月極と一時利用の2種類あるので、停める場所には注意が必要です。1回の利用につき200円。

公共交通機関でのアクセス

津照寺の近くには駅がないので、車以外で行く場合はバスを利用します。

・土佐くろしお鉄道ごめんなはり線奈半利駅から20.4km

・高知東部交通バス「室戸」バス停から500m

前後の札所

24番札所最御崎寺から6.5km

26番札所金剛頂寺まで3.8km

津照寺の御朱印

津照寺の御朱印

津照寺は大師堂の隣に納経所があります。納経料は300円です。

津照寺の御影

津照寺の御影

津照寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。

カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。

津照寺の納経受付時間

津照寺の納経受付時間は7:00から17:00までです。

津照寺について

大同2年(807年)に弘法大師がこの地を訪れ、山の形が宝珠に似ていることから霊地であると感得し、延命地蔵菩薩像を刻んで堂宇を建立しました。

戦国時代には長宗我部氏の庇護を受け、藩政時代には藩主・山内家の祈願所となり篤く信仰されていましたが、明治維新の廃仏毀釈によって廃寺となりました。その後、明治16年(1883年)に復興が許されて現在に至ります。

正式には宝珠山(ほうしゅざん)真言院(しんごんいん)津照寺(しんしょうじ)といい、真言宗豊山派のお寺です。

地元では古くから「津寺(つでら)」と呼ばれて親しまれ、御影にも津照寺ではなく津寺と書かれています。

津照寺の御本尊

津照寺の御本尊は延命地蔵菩薩。別名「楫取地蔵(かじとりじぞう)」と呼ばれています。

楫取地蔵の由来
慶長7年(1602年)に土佐藩主・山内一豊が室戸沖で嵐にあったとき、どこからか僧侶が現れて船の楫(かじ)をとりました。おかげで無事に港へ戻ることができましたが、港につくと僧侶は突然姿を消してしまいます。藩主一行は僧侶に礼を言うべく、衣からしたたり落ちたと思われる水のあとを追って行くと津照寺の本堂にたどりつきました。中を見ると御本尊がびっしょりと濡れていたので、きっと御本尊さまが助けてくれたに違いないと思い、以降「楫取地蔵」と呼ばれるようになったそうです。

平安時代末期に書かれた今昔物語集には「津寺」という名前で津照寺が登場しています。お寺が火災にあったとき、御本尊が僧侶に姿を変えて近隣の住民に知らせて難を逃れたという霊験も語られていて、「かじとり地蔵」には船の楫をとった「楫取」と火災を防いだ「火事取り」の2つの意味が込められています。

津照寺の御本尊には海にまつわるエピソードが多く、昔から海上安全の寺として室戸の漁師さんに信仰されています。

津照寺の見どころ

一木神社

門のすぐ隣には「一木神社」という神社があり、一木神社では土佐藩主・山内家家臣の一木権兵衛(いちきごんべえ)をお祀りしています。

一木権兵衛は土佐藩の普請奉行として室津港の改修工事に携わった人物。寛文元年(1661年)に行われた室津港の改修では、港の入り口をふさぐ「お釜石」と呼ばれる巨岩を取り除く難工事がありました。一木権兵衛はこれを成功させるために海の神に命を捧げることを誓って竣工祈願をし、工事が無事に終わった翌日に切腹しています。

一木神社は延宝7年(1679年)に創建され、もとは石塔だけでしたが明治時代に社殿が建てられました。

★鳥居をくぐってすぐ右手にある大きな岩はその工事で取り除かれたもので、「お釜石」の実物が置かれています。

125段の階段

津照寺の本堂へ続く108段の階段

津照寺は標高30メートルの小高い丘の上にあります。なので、門を入ってすぐ目の前にそびえる125段の階段を上がらないと本堂へ行けません。実は車で上がれるとか、回避ルートは一切なし。

この階段、かなりの急角度なうえに一段一段の高さがバラバラで上りにくく、見た目以上にきつい。手すりを持っていないと落ちそうで怖かったです。

ちなみに、”東寺”と呼ばれる最御崎寺と”西寺”と呼ばれる金剛頂寺と津照寺を合わせて「室戸三山」といい、お察しのとおり次の26番札所もそこそこ長い階段があります。

125段の階段の途中には珍しい写経大師尊像がある

階段の途中には珍しい「写経大師像」。

よく見かける修行大師像とは違い、龍に守られた力強いお姿ですが由来は不明です。津照寺以外では見たことがないような…。

印象的な鐘楼門

津照寺の階段途中にある鐘楼門

鮮やかな赤が印象的な鐘楼門は竜宮城みたいです。

この門は「仏の灯台」と呼ばれているとか。高い位置にあるので、海からもこの鐘楼門が見えるんでしょうね。

市街地にあるため、津照寺で鐘をついていいのは7:00~17:00までと定められていて、もちろん連打禁止。この場所での野宿も禁止されています。

鐘楼門の前には小さい金剛力士がいます。

海が近いせいか錆び錆びで、ヒョロガリ体型なのも気になる。応援したくなる系金剛力士でした。

オーシャンビューな本堂

津照寺の本堂

本堂はコンクリート製で、昭和50年(1975年)に再建されています。津照寺は海に近くて風が強いので、香炉やろうそく立てなど一式は本堂の内部にありました。

御本尊は秘仏のため拝顔はできませんが、薄暗い本堂には奉納された30000体の地蔵菩薩像が三方の壁にぎっしりと並んでいて、独特の雰囲気でした。門に書いてあった「万体地蔵尊奉安殿」とはこのことか。

津照寺の本堂から見える海

津照寺は小高い丘の上にあるので見晴らしばつぐん、目の前には太平洋が広がっています。海は広いな大きいなを実感できました。

津照寺の本堂から見える景色

26番札所がある行当(ぎょうとう)岬も見えます。津照寺の本堂からは金剛頂寺が見えるそうですが、どのへんにあるのかわからず。逆に金剛頂寺からは津照寺の屋根がはっきり見えました。

大師堂はふもとに

津照寺の大師堂

本堂でお参りをすませたら、階段を下りて大師堂へ。

大師堂は昭和38年(1963年)に再建された比較的新しいもので、周りにはソテツがわんさか生えていて高知の南国っぽさを感じます。

津照寺のおみくじ

津照寺の弘法大師おみくじ

大師堂には「弘法大師おみくじ」がありました。ほかのお寺では見かけなかったので、これは津照寺オリジナルでしょうか。

開くとおみくじが書いてあって、ピッカピカなゴールデンお大師さんが封入されています。「肌守りとして身につけてお持ち下さい」と書いてありますが、秒で失くしそうなサイズ感でした。

「極楽願わんより地獄作るな」って、なんか大吉っぽくないお言葉で釈然としない。

▼持ち帰ったおみくじの整理に便利!▼

小坊主くん

納経所前にある案内小僧

津照寺には小坊主くんはいないのかな?…と思いきや、納経所のすぐ前で『納経所はこちらでーす』みたいなドヤ顔。

まとめ

「修行の道場」と呼ばれる高知県の札所らしく、津照寺では見た目以上にきつい階段の洗礼を受けますが、お参りのしがいがありました。

海の近くにあるので本堂から雄大な太平洋が見える絶景のお寺、晴れた日の眺望は最高でした。津照寺を参拝するときは、ぜひ景色も楽しんでくださいね。

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