四国八十八ヵ所霊場第4番札所大日寺は、美しい木造の三十三観音像があることで有名なお寺です。平成26年(2014年)から平成の大改修が行われていて、鐘楼門や三十三観音像もきれいに生まれ変わっています。
山を背にした静かな環境にあり、境内全体が板野町の史跡に指定され、2019年には「阿波遍路道」として国の史跡にも指定されました。
大日寺へのアクセス
県道12号線から山へ向かい、ひたすらまっすぐ進むとつきあたりに大日寺があります。県道12号線沿いの板野西消防署がある交差点を曲がると、途中に5番札所地蔵寺があります。
高速道路を利用する場合、各インターからの距離は以下のとおりです。
- 徳島自動車道 藍住インターから約7.5km
- 高松自動車道 板野インターから約7km
第13番札所大日寺が徳島市にあるので、カーナビの設定等にはご注意を。
大日寺の駐車場
大日寺には参拝客が無料で利用できる駐車場があります(普通車30台)。
公共交通機関でのアクセス
車以外でのアクセスは不便。歩いて行くのは難しい距離なので、大日寺は車で行くか板野駅からタクシー利用がおすすめです。
・最寄り駅はJR高徳線の板野駅、駅からの距離は約4.5km
大日寺の御朱印
大日寺は本堂と薬師堂の間に納経所があります。
大日寺の御影
大日寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
大日寺の納経受付時間
大日寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
大日寺について
寺伝によれば空海(弘法大師)がこの地での修行中に大日如来を感得、一刀三礼して1尺8寸(約55cm)の大日如来像を刻み、これを本尊として創建し、本尊より大日寺と号したという。山号の黒巌山は、この地が三方を山に囲まれ黒谷と呼ばれていたのが由来で、黒谷寺(くろたにでら)とも呼ばれていたという。
荒廃と再興を繰り返し、応永年間(1394年 – 1428年)には松法師により修復がなされ、慶安2年(1649年)には徳島藩2代藩主蜂須賀忠英により本堂を建立して以来、天和・貞享年間(1681年 – 1688年)に再興される。また、元禄5年(1692年)には5代藩主蜂須賀綱矩が、寛政11年(1799年)には11代藩主蜂須賀治昭の篤い帰依を受け堂塔の大修理が行われた。
正徳4年(1714年)に真言宗御室派になり明治前期の当寺住職の泉智等は御室派管長になるが、明治20年以降は京都の東寺の末寺となる。
1998年(平成10年)から2015年(平成27年)まで住職を務めた真鍋俊照は仏教美術学者として著書多数あり。
平成の大修理として、2014年(平成26年)より、大師像、弥勒菩薩坐像、三十三観音像、そして本尊・大日如来坐像が順次修復され開帳された。(Wikipedia大日寺(徳島県板野町)より引用)
弘法大師が42歳のとき、この地に長くとどまり修行していたといわれています。修行の際、大日如来を感得してそのお姿を刻み、5.5cmほどの小さな大日如来像を御本尊として大日寺を創建しました。お察しのとおり、「大日寺」の寺号は大日如来に由来しています。
かつては立派なお堂や塔が並ぶ荘厳でとても広い境内のお寺でしたが、何度も荒廃し応永年間(1394年~1428年)と天和~貞享年間(1681年~1688年)に修復され再興したという記録があります。
藩政時代には徳島藩主・蜂須賀家が大日如来を守り本尊としていたため、大日如来を御本尊とする大日寺は藩主により手厚い保護を受けていました。
元禄~宝暦年間(1751年~1764年)には5代藩主・蜂須賀綱矩(つなのり)公により大規模に修復され、これ以降大日寺は荒廃することなく今に続いています。歴代藩主のなかでも、綱矩公はとくに帰依が厚かったといわれています。
正式には黒巌山(こくがんざん)遍照院(へんじょういん)大日寺といい、東寺真言宗のお寺で準別格本山です。
弘法大師空海といえば真言宗、真言宗といえば高野山ですが、四国霊場のお寺のなかには「高野山真言宗」ではないお寺も多数とあり、なかには臨済宗や曹洞宗、天台宗のお寺もあります🤗
大日寺の御本尊
大日寺の御本尊は弘法大師作と伝わる大日如来像。本堂では御本尊と同じ大きさの前立本尊を拝顔できます。四国霊場のお寺のなかで御本尊が大日如来のお寺は6か寺だけ、なかなかレアですよ✨
また、大日寺の御本尊は住職でも生涯2回しか見られない(住職になるときと交代するとき)という秘仏ですが、2014年の四国霊場開創1200年記念と2017年の修復記念では開帳されていました。
大日寺の見どころ
大日寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
珍しい構成の鐘楼門
大日寺の入り口にあるのは仁王門ではなく鐘楼門です。金剛力士像(仁王像)があるのが仁王門、鐘楼があるのが鐘楼門。1番札所から順に周ってきた場合、初めての形式かも🤔
「鐘楼(しょうろう)」とはお寺の鐘のことで、この門の2階には鐘があります。1階は四角い柱、2階は丸い柱という構造はとても珍しいものだとか。
鐘楼門は平成30年(2018年)に修復が終わったばかりで、とても鮮やかな色でした✨
胃腸にいい「蛤水」
大日寺ではかつて「蛤(はまぐり)水」という白く濁った水がわいていて、この水を飲むと胃腸にいいといわれていました。現在わいている水は蛤水はなく、手水舎の水も透明の普通の水で、衛生上飲めません。
手水鉢は大きな岩をくりぬいたもので、文政5年(1822年)の銘があります。約200年前のもの😲
大日寺といえば「三十三観音」
大日寺の本堂と大師堂は回廊で結ばれていて、その中には木造の三十三観音が並んでいます。
これは明和年間(1764年~1772年)に大阪の信者さんにより奉納されたもので、西国三十三観音霊場の三十三体の観世音菩薩像を模した像です。西国三十三観音霊場をお参りすると現世の悪業が消え、極楽往生できるといわれていて、四国霊場よりも古い日本最古の霊場です。
現在ほど交通機関が発達していなかった昔は四国で実際にお遍路をするのが難しく、全国各地に四国霊場の写しが作られました。逆に四国からは西国霊場へ巡礼できない人も多かったので、四国のお寺には西国霊場の写しが多くあります。だいたいが石仏ですが、こちらは木造。光背まで合わせると70cm~80cmくらいのそこそこの大きさで、細部まで繊細に作りこまれたとても美しい像です。
この回廊を歩くことにより、西国霊場をお参りするのと同じ功徳があります。「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と唱えながら歩くといいですよ😆
現在修復中(2019年2月完了)で一部拝顔できない観音さまもありますが、とても素晴らしいものでした。ガラス越しでの拝顔ですが、どの観音さまも本当に美しくて仏像が好きな方にはかなりおすすめです!
以前はガラスがなかったので、指を折られたり飾りを盗まれたりと観音さまたちはさんざんな目にあったとか…🥺罰当たりにも程がある。
観音さまといえば、頬杖をついたアンニュイなポーズでおなじみの如意輪観音さまが好き🥰
三十三観音の入り口には弁財天像も。この弁財天は徳島県在住の方の作品で、石像です。
お顔は皇后・美智子さまをモデルにしたといわれています。たしかに、色白で優しい表情がお若い頃の美智子さまに似ているような気がします✨
延命長寿の「青面金剛」
本堂と大師堂を結ぶ回廊には、弁財天と並んで青面金剛(しょうめんこんごう)像もあります。
青面金剛には病気や災難を駆逐する力があり、延命長寿の御利益があります。自分自身だけでなく、親類や他人までも病気や災難から守ってくれるという超ハイパワーぶり。
足もとには見ざる・言わざる・聞かざるの三猿を従えているのが青面金剛の特徴。
大日寺の青面金剛は小さな像なので、三猿もかなりミニサイズでした。
見どころが凝縮された大師堂
三十三観音の回廊を抜けると大師堂があります。
大師堂の縁側には「賓頭盧(びんずる)尊者」がいます。四国霊場のお寺を順に参拝すると、大日寺が初対面となります。
賓頭盧尊者は釈迦の弟子で、「十六羅漢」の一人。優れた神通力を持っていたため人々に見せびらかし、お釈迦さまに怒られて「悟りを得ずに現世にとどまり、民衆を病から救え」と言われたというやんちゃエピソードの持ち主😂
また、お釈迦さまにお叱りを受けたため、お堂の中ではなく縁側に出されているそうです。たしかに、賓頭盧尊者はほとんどのお寺で縁側にいますね。
「びんずるさん」や「おびんずるさん」と呼ばれ、なで仏として有名です。大日寺では右手と左手で3回ずつ優しく頭をなでると無病息災が約束されるといわれていますよ。なでられすぎて頭がテカテカでした。
びんずるさんのお姿が赤いのはお酒の飲みすぎという説と、生命力がみなぎっている様子を表しているという説があります。
ご住職は仏教美術学者!
大日寺の先代ご住職は仏教美術学者で、仏画家でもあります。大師堂にある「両面大師」はご住職がみずから3年かけて修復されたものです。
この両面大師は宝暦13年(1763年)にはすでに大日寺にあったという記録があり、ボロボロになっていたそうですが修復により美しい姿を取り戻しています。
こちらは紺地に描かれた夜の大師。
こちらは白地に描かれた昼の大師。
夜の大師と昼の大師が合体し、大師堂の御本尊である大師像になる、ということらしいです。
大日寺で納経をするといただける大日如来の御影の絵も先代のご住職が描かれたものだそうですよ。たしかにかなりのハイクオリティー、御影をいただいたらじっくり見てみましょう。
トイレには烏枢沙摩明王
大日寺のトイレには入り口に烏枢沙摩明王像があります。ガラスがあるので写真はうまく撮れなかったんですが、迫力ある表情です。
「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」はこの世のすべての不浄を焼き尽くす高火力なパワーを持ち、トイレの神さまとしてお祀りされることが多いです。
四国霊場のトイレではたびたびお姿を見ることができますが、こちらも1番札所から順に周ってきた場合は大日寺が初対面となります🤗
小坊主くん
3番札所に引き続き、大日寺もまさかの小坊主くん不在でがっかり。
まとめ
大日寺は山に囲まれたとても静かな場所にあり、空気も澄んでいてとても落ち着いた雰囲気でした。修復されたばかりの観音像や両面大師、鐘楼門が美しく、芸術的なお寺です。
四国霊場のお寺のなかではやや地味目な存在ですが、見どころはたくさんあるのでおすすめです!
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