四国八十八か所霊場は四国四県にある88のお寺を巡礼する信仰の旅。四国霊場以外にも別格霊場や番外札所など、さまざまな弘法大師ゆかりのお寺が多くあります。
今回ご紹介する「十輪寺(じゅうりんじ)」も、そんな弘法大師ゆかりのお寺。
関西からの海路の玄関として栄えた鳴門・撫養港から霊山寺まで、当時のお遍路さんは旧撫養街道を通って巡礼をスタートさせました。
1番札所霊山寺よりも手前にあることから、十輪寺は「1番前札所」と呼ばれています!お遍路をするときは、ぜひ参拝してみてくださいね。
十輪寺へのアクセス
十輪寺は旧撫養街道沿いにあり、現在の幹線道路からは外れていますが迷わずたどりつけました。
金剛福寺の駐車場
境内に駐車可能。
公共交通機関でのアクセス
- JR高徳線「板東」駅から900m
- 徳島バス鳴門大麻線「萩原」バス停で下車すぐ
前後の札所
1番札所霊山寺へ1.3km
十輪寺の御朱印
十輪寺の御朱印がこちら。
右から
- 奉納経
- 子安地蔵尊
- 弘法大師談議所
とあります。
SNSや御朱印交流サイト等の口コミを見ると、直書き対応も可能なようですが、無人の場合が多いのかもしれません。
ご不在のときは本堂前にある書置きを拝受できます。私が参拝したときもご不在でした。
十輪寺の御影
十輪寺の納経には御影はないようでした。
十輪寺について
寺伝によれば、十輪寺は飛鳥時代の白雉2年(651年)讃岐国三木郡出身の僧侶・智光律師によって建立されたとされる。智光は全国行脚の後、阿波国海部郡に草庵を結んでいた。智光はここで男児が「阿波北部の説法山に寺院を建て、そこで修行するように」と告げる夢を見た。智光はその地に向かい修行を行うと、地中より「地蔵菩薩」と書かれた木板を掘り当てた。そこで智光は地蔵菩薩を彫りこれを本尊として十輪寺を建立した。智光が白雉3年(652年)に没すると地蔵菩薩も消えたという。
平安時代初期の大同(806年 – 810年)に空海(弘法大師)が智光律師の伝説を聞き及び、地蔵菩薩を彫って再びこの地に安置したと言われる。その際に、僧侶を集めて説法を行い四国霊場の談義をしたとされる。そこで十輪寺は「談義所」と呼ばれるようになった。その後、嵯峨天皇の命により備後国の僧・智明が伽藍を整備したと伝えられている。
(Wikipedia十輪寺(鳴門市)より引用)
十輪寺は創建から1300年以上の歴史があるお寺です。
弘法大師ゆかりのお寺ですが、創建はお大師さんではなく「智光律師」というお坊さん。
智光律師って誰やねん…?と思って調べてみたけど、情報なし。
同名の「8世紀の元興寺(がんごうじ)の学僧」は河内生まれなので別人です。
正式には説法山(せっぽうざん)宝珠院(ほうじゅいん)十輪寺(じゅうりんじ)といい、高野山真言宗のお寺です。
四国霊場が現在の形で88か寺に定められたのは江戸時代のこと。土佐出身の「宥辨(ゆうべん)真念」というお坊さんがまとめた「四國邊路道指南(しこくへんろみちしるべ)」が元となっています。
なので、縁起にある
僧侶を集めて説法を行い四国霊場の談義をしたとされる。
というのは実は微妙…なのかもしれません🤔
しかし、十輪寺があるあたりは古墳や古い寺社も多く、お大師さんがパワースポット的な何かを感じてお寺を開かれたのは間違いないでしょう!
十輪寺の御本尊
十輪寺の御本尊は地蔵菩薩。
本堂とは別に地蔵堂があり、こちらに安置されているようですが拝顔はできません。
十輪寺の見どころ
十輪寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして、参考になさってくださいね。
シンプルな門
十輪寺はコンパクトなお寺なので、仁王門や鐘楼などのお寺っぽいアイコンはありません。
入口もご覧のとおりのシンプルさで、門柱があるのみ。右側には「四国霊場一番前札所談議所」、左側には「高野山真言宗十輪寺」と記されています。
右端に見切れている石碑は大正時代のもので、談議所の由緒が刻まれていました。
かわいい六地蔵
十輪寺墓地にはポップな六地蔵さま。
死後に生まれ変わる仏教の教え「六道輪廻(ろくどうりんね)」は有名ですが、内訳をご存知でしょうか。
地獄・餓鬼・畜生は苦しみしかない世界で「三悪道」と呼ばれ、ここに修羅道を入れて「四悪趣」とすることも。
人間界より上の「天上」は一見極楽浄土のようなイメージですが、こちらは人間界より仏の世界に近いだけで、人間より寿命は長いもののいずれ死んで六道に生まれ変わります。
十輪寺の御本尊でもある地蔵菩薩は六道を守護する仏さまで、墓地にはだいたい六地蔵が祀られています。
地蔵菩薩のご真言の
ロングバージョン初めて見たかも…!
本堂
Wikipediaには
昭和61年(1986年)に整備されたもので、この時、本堂、地蔵堂が改築された。
との記述があります。
築40年弱で、お寺の本堂としてはかなり新しいものでした。入口には山号の「説法山」の扁額があります。
地蔵堂
御本尊が安置されているのはお隣の地蔵堂。
ロウソク立てやお賽銭箱があり、お遍路でお参りするのはこちらの模様。
Wikipediaによると本堂と同じ時期に建てられたものですが、壁や瓦はかなり新しく見えたので最近改修されたのかもしれません。
シンプルなお堂ですが、木鼻にはかっこいい龍がいました!
十三仏
本堂の前には大きなソテツの木があり、木を囲むように十三仏がお祀りされていました。
まとめ
十輪寺は「1番前札所」と呼ばれる歴史あるお寺ですが、現在はひっそりとしたコンパクトなお寺でした。
1番奥の院と1番札所霊山寺の間にあるので、お遍路をするときはぜひ参拝してみてくださいね。
おすすめのお立ち寄りスポット
十輪寺の近くで御朱印がいただける神社仏閣や、あわせて行きたいおすすめスポットをまとめました。
四国1番霊山寺
霊山寺(りょうぜんじ)は四国霊場第1番札所、お遍路のスタート地点です。本堂の吊り灯籠がきれいで、1年中お遍路さんや観光客でにぎわっています。
東林院
東林院(とうりんいん)は四国1番奥の院で、霊山寺より4kmほど撫養寄りにあります。お大師さんが自ら鍬を持ち、畑に作物を植えて住民に農業指導をしたという伝説が残っています。
そのため、「発心の種をまく」という意味をこめて霊山寺の前に参拝するお遍路さんもいますよ。
ルート的には東林院→十輪寺→霊山寺がベストかも。
東林院オリジナルの阿波弁一言みくじがおすすめです!