四国八十八か所霊場第8番札所熊谷寺は山に近い立地で境内がとても広く、自然豊かな環境にあります。
四国霊場最大・最古の仁王門と多宝塔や中門、大師堂など江戸時代に作られたものが多く残っていて、とても歴史あるお寺です。広い境内に見どころがいっぱいですよ。
仁王門の内部は非公開ですが美しい極彩色の天女絵があり、納経所で陶板絵や写真を鑑賞できます✨天女絵にちなんだ授与品もあります!
また、「花のお寺」としても知られていて、写真愛好家にも人気の撮影スポット📷春には早咲きの「蜂須賀(はちすか)桜」とソメイヨシノやモクレン。初夏には色とりどりのあじさい。秋には紅葉。季節の花が楽しめます🌸
2020年から御本尊と大師納経とは別に特別御朱印も頒布されていて、いただける御朱印が増えました。
- 特別御朱印「熊野権現」
- 特別御朱印「空海十大弟子」
- 桜の御朱印
- 紫陽花の御朱印
熊谷寺へのアクセス
- 県道139号線から入る広域農道沿いにあり
- 徳島自動車道土成インターから1.8km
熊谷寺の駐車場
熊谷寺は参拝客が利用できる駐車場があります(普通車20台)。
料金は志納制となっていて納経所に料金箱がありましたが、車で来たかの確認はありませんでした。料金は決まっていないので、お気持ちで納めてください(100円程度でOK👌)。
公共交通機関でのアクセス
熊谷寺は公共交通機関でのアクセスが困難な場所にあります。車で行くか、JR鴨島駅からタクシー利用がおすすめです。
- JR徳島線鴨島駅下車、駅からの距離は5.8km
- 徳島バス二条・鴨島線に乗車し「阿波高前」バス停下車、2.8km
前後の札所
7番札所十楽寺から4.2km
9番札所法輪寺まで2.8km
熊谷寺の御朱印
熊谷寺は駐車場に大きな納経所があり、そちらで御朱印がいただけます。四国霊場のほか阿波西国三十三観音霊場第27番札所にもなっていて、御朱印は2種類あります。
また、2020年より新たに書置きの特別御朱印がいただけるようになりました。
- 空海十大弟子
- 熊野権現
- 花納経 桜(桜の御朱印)
- 花納経 紫陽花(紫陽花の御朱印)
四国霊場の御朱印
右上の印は「四国第八番」、御本尊は「千手観音」です。
阿波西国の御朱印
こちらは右上の印は「阿波西国第二十七番」、御本尊は「千手観音」。四国霊場の御朱印をいただいたときと書き手の方が違ったので、左下の「熊谷寺」の文字に個性が出ていますね。
特別御朱印あります!
2020年より、新たに授与されている特別御朱印が2種類あります。どちらもA4サイズの天女絵のクリアファイル入りで、上が「熊野権現」、下が「空海十大弟子」。
文字色はそれぞれ銀色(熊野権現)と金色(十大弟子)となっていて、クリアファイルの色も銀(グレー?)と金(黄色?)で対になっています。
熊野権現と熊谷寺
弘法大師がこの地で修行中に熊野権現が現れて観世音菩薩像を授け、『永く衆生救度の礎とせよ』と託宣を受けたことが熊谷寺の始まり。熊谷寺の鎮守として、今も駐車場近くに熊野権現さまがコンパクトにお祀りされています。
昨年(2019年)、発掘調査が行われ江戸時代の地図にあった「鎮守社跡地」が発見されたそうで、それを記念しての特別御朱印かと思います。
本堂横には遥拝所が作られていました。熊谷寺へお参りのさいは、ぜひ鎮守さまに入山のごあいさつを。
空海十大弟子と熊谷寺
2020年1月から12月末まで、本堂内で熊谷寺が所有する十大弟子の絵図を開帳しています。「十大弟子」の御朱印はそれを記念して頒布されているっぽいです。頒布期間については何も書いてなかったですが、2020年いっぱいは大丈夫…かな?
本堂内では御本尊が安置されているお厨子の前に大壇があり、そちらにはお大師さまがおられ、御本尊とお大師さまの前に十大弟子が控えるように絵図が置かれていました。
空海十大弟子というのは、お大師さまのお弟子方のうち、特にお大師さまと近しい十人の方々のことです。その十人の方々を無数のお弟子さま方の代表として、いま参拝している自分がお大師さまに出会うまで、その御おしえを守り受け継いでくださったことへの、報恩と讃嘆の気持ちが十大弟子信仰となりました。
この、熊谷寺十大弟子絵図は、十大弟子信仰の広まった慶長年間(1600年頃)の作と推定されています。
お大師さまの御足にふれる幸いを我らにもたらした、お弟子さま方への報恩謝徳の合掌礼拝をいたします。※大壇の座には、お大師さまの如法衣と五独鈷が安置されています。
これは、お大師さまが一座行法の合間に中座して、今は大師堂に居られることを示しています。(本堂内説明書きから引用)
本堂内は写真撮影禁止で、遠目なので絵図もはっきりとは見えないんですが、十大弟子はお厨子に向かって
- 左側:奥から「実恵」「真済」「果隣」「智泉」「泰範」
- 右側:奥から「真雅」「真然」「道雄」「真如」「忠延」
という並びでした。
熊谷寺の御影
熊谷寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
熊谷寺の納経受付時間
熊谷寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
熊谷寺について
寺伝によれば、815年(弘仁6年)空海(弘法大師)がこの閼伽ヶ谷で修行をしていた際、熊野の飛瀧権現(熊野那智大社の別宮飛瀧神社の祭神)が現れて「永く衆生済度の礎とせよ」との宣託をし、1寸8分 (約5.5cm) の金の観音像を授けた。そこで堂宇を建立し、一刀三礼して霊木に等身大の千手観世音菩薩を刻んでその胎内に授けられた観音像を収めて本尊としたという。
1927年(昭和2年)火災により本堂とともに空海作と伝えられていた本尊も焼失した。本堂は1940年(昭和15年)に再建が開始されたが戦争により中断、1971年(昭和46年)に全容が完成し、新造された本尊が開眼した。(Wikipedia熊谷寺(阿波市)より引用)
弘仁6年(815年)、弘法大師がこのあたりで修行をしていたとき熊野権現が現れて黄金の観音像を授けたといわれています。弘法大師は等身大の千手観世音菩薩を刻み、その胎内に仏舎利120粒と熊野権現に授けられた観音像を納めて本尊としました。
昭和2年(1927年)の火災で、残念ながら本堂と弘法大師作の本尊が焼失しています。現在の本堂は昭和15年(1940年)から再建が始まり、昭和46年(1971年)に完成したものです。御本尊も本堂の再建に合わせて新しく作られたもの。
正式には普明山(ふみょうざん)真光院(しんこういん)熊谷寺(くまだにじ)といい、高野山真言宗のお寺です。
熊谷寺の御本尊
熊谷寺の御本尊は千手観世音菩薩。
ふだんは非公開ですが、正月三が日と毎月18日に開帳されています。秘仏が多い四国霊場の御本尊のなかでは比較的拝顔の機会が多いです。
熊谷寺の見どころ
熊谷寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
四国霊場最大・最古の仁王門は必見
熊谷寺のシンボルがこの仁王門、こちらは貞享4年(1687年)に建立されたもの。
間口:9m
徳島県指定有形文化財
駐車場から南へ200mほど離れた場所にあるので、車で熊谷寺行くと見落しがちですが四国霊場で最大・最古というとても貴重なものなので、わざわざ立ち寄る価値はあります!
仁王門前には立派な桜並木があり、徳島藩主・蜂須賀氏も花見に訪れた場所で「花見の名所」として知られています。モクレンも咲くので、春に参拝する場合はお花見も楽しんでください。
門の中でお寺を守っている金剛力士像も必見です!やや色あせぎみですが、かつては極彩色の美しい像だったことがわかります。
この金剛力士像は熊谷寺が大好きで、7番札所十楽寺へ移されることになって運ばれたときも夜のうちに歩いて戻ってきた、という伝説が😲何度運んでも戻ってくるので、移すのはあきらめたそうです。
四国最古のカラフルな多宝塔
駐車場からすぐ見える、高さ18メートルの大きな多宝塔も熊谷寺の見どころのひとつでこちらは四国霊場最古のもの。安永3年(1774年)に建立された歴史あるもので、この多宝塔も徳島県の指定有形文化財です。
内部に入ることはできませんが、二層目の色彩が鮮やかでとても美しいです✨
平安時代っぽい装飾。
よく見ると四方に龍がいますよ😆
歴史ある二天門
熊谷寺は駐車場と本堂がやや離れていて、本堂へ向かう途中には中門(二天門)があります。
二天門は慶安2年(1649年)に作られたもので、中には貞享4年(1687年)に作られた持国天と多聞天がいます。5番札所地蔵寺のゆるキャラ的持国天&多聞天と違い、熊谷寺ではとてもりりしい表情でした✨
仏舎利が入った宝塔を持っているのが「多聞天(たもんてん)」の特徴で、「持国天(じこくてん)」は剣や矛を持っているのが特徴。
多聞天は七福神でもおなじみの「毘沙門天」のことで、単独でお祀りされるときのみ「毘沙門天」と呼ばれるとか。
二天門の近くには多聞天と持国天の石像もあります。
補助つきの龍
駐車場から長い参道を歩いてようやく本堂にたどりつきます。途中に階段もありますが、それほど大変な道のりではありません。
手水舎の龍はホースの補助つき。なんでそこに置いたし😂
本堂と大師堂
昭和の始めの火災で焼失し、再建されたため本堂はまだ新しい感じがします。
香炉は邪鬼が支えるタイプ。熊谷寺は天皇勅願のお寺ではなく縁起を見ても皇族ゆかりという歴史がないようですが、なぜか菊花紋つきです。
大師堂への階段脇には鐘楼と修行大師像、延命龍頭観音像があります。延命龍頭観音は健康増進と延命の御利益があり、1番札所から順に参拝すると熊谷寺で初対面となります。
本堂から42段の厄除け階段を上がると大師堂があります。
大師堂は火災での焼失は免れていて、宝永4年(1707年)建立のものが現存しています。築300年以上😲さらに、大師堂に安置されている弘法大師坐像は永享3年(1431年)のもので徳島県で2番目に古い大師像です。
大師堂の扁額。
何度参拝してもなぜか大師堂の全景写真を撮り忘れる件😂
大師堂には象さんの彫刻がありました。鼻先がくるくるでかわいい。
仁王門の美しい天女絵
熊谷寺の仁王門の2層目には極彩色の美しい天女絵があるとか✨
残念ながら一般公開はされていませんが、納経所近くの陶板で7分の1サイズのものを鑑賞でき、納経所内には実物の写真が掲示してあります。忘れずにチェックしてくださいね。
授与品には天女絵グッズも!
熊谷寺には授与品として天女絵の散華があり、お守りとして持ち歩くことができます。納経所のお守りコーナーにあり、6枚セットかばら売りで購入できます。
6枚セットだとこんな感じでピンク色の紙に包まれています。紙を開くと、中に散華が入っています。
熊谷寺の天女絵散華には死後に天女がお迎えに来てくれるというありがたい御利益つき!袋に入れたまま、肌守りとしてバッグやお財布などに入れて持ち歩くそうです。
小坊主くん
熊谷寺では足元が薄汚れた小坊主くんが大師堂前にいました。
熊谷寺の花模様
「花のお寺」といわれる熊谷寺では広い境内で四季折々の風景が楽しめます!春は桜、初夏はあじさい、秋は紅葉…少しだけですが写真をご紹介しますね💁♀️
お花の見ごろの目安はこちら。
- 蜂須賀桜:2月下旬~3月初め
- ソメイヨシノ:3月下旬~4月初め
- あじさい:6月中旬
- 紅葉:11月頃
花の時期になるとアクセスが急増するので、実際に見に行ったときの写真を少し載せておきます!
【2020年】紫陽花
熊谷寺では6月になるとあじさいが見ごろになります✨
池の周りもあじさいスポットですが、二天門から本堂にかけても色とりどりのあじさいが見られます。あじさいに埋もれた持国天の石像も素敵。
こちらが池沿いのあじさいロード。ピンク系のかわいらしいお花がたくさん咲いていました!車道なので見物や写真撮影の際にはご注意ください。
多宝塔周辺の新緑もきれい✨
【2021年】蜂須賀桜
3月10日の参拝時には早咲きの蜂須賀桜はすでに散り始めていました💦
納経所前の大きな木はとても見ごたえがあって、満開の時期に見たかった。。。
本堂へと向かう途中の二天門前にも蜂須賀桜の並木があります。こちらはかなり散っていましたが、風にひらりと舞う花びらが風流でした。
弁財天が祀られている池の周りにもたくさん植えられていますが、そちらは人気の撮影スポットとなっていて密&密だったため見られず💦
こちらは仁王門前のモクレン。かなりの巨木で、どうやって撮っていいかわからず💦熊谷寺の仁王さんはうっすらと赤いボディーなので白いモクレンとの対比がいい感じ。
真っ白で大振りな花が豪華ですね✨モクレンはちょうど満開で見ごろバッチリでした。
仁王門前の参道沿いには桜並木があります。こちらはソメイヨシノなので、3月下旬から4月初めが見ごろだとか。遠くに見えるモクレン、大きさがわかるでしょうか💦
【2021年】ソメイヨシノ
ソメイヨシノは微妙に見ごろを逃し、仁王門の桜並木もちょっと葉っぱが目立つ感じでした。
【2022年】蜂須賀桜
今年も熊谷寺の蜂須賀桜の季節がやって来ました!
熊谷寺では弁財天の池を中心に100本の蜂須賀桜が見られます。今年は例年より2週間ほど開花が遅く、見ごろは3月20日頃まで。18日金曜日は雨の予報なので、できればそれまでにお出かけください。
ちょうど前日にローカルニュースで紹介されていたらしく(近くにいたおっちゃんの話を盗み聞き😂)、平日でしたがたくさんの方が訪れていました。
11日に下見に行ったときはこんな感じ。曇っていることもあり、分かりにくいですが2分~3分咲き位でした。
↑これが、
こう。めっちゃ咲いてる。
おんなじ場所から取ってたらもっと比較しやすいんですが💦
納経所横の大きな木がすごくきれいで、人気の撮影スポットでした。
花納経、昨年とはデザインが違います!
この投稿をInstagramで見る
リール動画も作ってみました🙋♀️(※音量注意)。
蜂須賀桜が終わると、3月下旬からはしだれ桜やソメイヨシノが開花します。こちらは境内に250本植えられ、とくに仁王門周辺の並木は圧巻ですよ✨
まとめ
四国霊場最大・最古のものが2つもあり、見どころが多い熊谷寺。ほかにも中門と二天像や大師堂など、江戸時代に作られたものが数多く残っているのが特徴です。
熊谷寺は「花のお寺」ともいわれていて、桜やモクレン、あじさいなど季節の花や紅葉も楽しめる美しいお寺です。ぜひ、歴史ある境内と花の競演を楽しんでくださいね。
▼次の札所はこちら▼