高知県南国市|29番札所国分寺は珍しいこけら葺屋根の本堂と苔むした庭園が美しい!

高知の札所

四国八十八か所霊場第29番札所国分寺(こくぶんじ)は聖武天皇の勅願で全国に作られた国分寺のひとつで、土佐国分寺です。四国霊場では四国四県にある国分寺がそれぞれ札所となっています。

土佐国分寺は現在の高知県の中心部である高知市ではなく隣接する南国(なんこく)市にあり、古くはこのあたりが土佐の中心地だったようです。

珍しいこけら葺屋根の本堂や仁王門など、境内のすべてが国の史跡に指定されていて、見どころがいっぱいのお寺です。

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国分寺へのアクセス

幹線道路からやや奥まった場所にありますが、周辺に案内標識や看板がいくつもあり、ナビなしでも迷わずたどりつけました。

高速道路を利用する場合、高知自動車道南国インターから3kmです。

国分寺
〒783-0053
高知県南国市国分546

国分寺の駐車場

国分寺には第1から第3まで複数の駐車場があり、すべて無料で利用できます。

お寺の近くは道幅がかなり狭く、第1駐車場から奥へは大型車は通行できません。こんな感じで「乗用車等は第2駐車場へ」という看板がありますが、この奥の第3駐車場が一番お寺に近いです。第2駐車場側には入り口はなく、この塀に沿って仁王門まで歩かないといけません。

公共交通機関でのアクセス

最寄駅からの距離があるので、車以外で行く場合はバスがおすすめです。

・JR土讃線後免駅から3km

・南国市コミュニティバス「国分寺通」バス停で下車し、500m

前後の札所

28番札所大日寺から9.3km

30番札所善楽寺まで6.9km

国分寺の御朱印

国分寺は仁王門から本堂へ向かう参道の途中にある中門を通り、庭園の奥に行くと納経所があります。納経料は300円です。

国分寺では奥の院の毘沙門堂の納経も行っています。お参りした場合は忘れずに。

国分寺の御影

国分寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。

カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。

国分寺の納経受付時間

国分寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。

国分寺について

土佐国分寺は天平13年(741年)に聖武天皇が全国に作った国分寺のひとつで、天平13年(741年)に行基菩薩によって開基されました。「続日本紀」にも聖武天皇が天平勝宝8年(756年)に土佐国を含む26か国の国分寺に仏具等を下賜したことが書かれているので、それ以前にはすでに建立されたと考えられています。

国分寺周辺には土佐の国府が置かれていて、「土佐日記」で有名な紀貫之(きの・つらゆき)も国司として4年間赴任しています。

弘仁6年(816年)には弘法大師が毘沙門天像を刻んで奥の院に安置しました。弘法大師が42歳のとき、土佐国分寺本堂で厄除けの「星供の修法」を修めています。

星供(ほしく)の修法
「星供養(ほしくよう)」や「星まつり」とも呼ばれます。
密教では人にはそれぞれ生まれつき決まる「星」があり、その星によって運命が決まるといわれています。また、年ごとに巡る「当年星」という星も別にあり、これを供養することで一年間の厄をはらって開運を祈願するとか。今でも全国のお寺で行われている行事です。

正式には摩尼山(まにざん)宝蔵院(ほうぞういん)国分寺(こくぶんじ)といい、真言宗智山派のお寺です。

国分寺には国の重要文化財も多数あり、大正11年(1922年)には境内全域が国の史跡に指定されました。

国分寺の御本尊

御本尊は千手観世音菩薩、行基菩薩の作と伝わっています。脇侍として不動明王と毘沙門天が控え、こちらも行基作。本堂の扁額には「千手観世音」とあります。

国分寺の本堂には2体の木造薬師如来立像も安置されていて、こちらは国の重要文化財に指定されています。

国分寺の見どころ

仁王門

国分寺の仁王門は明暦元年(1655年)に建立され、2代目土佐藩主・山内忠義が寄進しました。現在の仁王門は昭和初期に再建されたものです。

金剛力士像は目がキラキラしていて、少女漫画風の不思議な顔立ちでした。

門から本堂までは一直線、参道には杉の大木がそびえています。神聖な雰囲気でした。

手水舎には水鉢と井戸?が並んでいます。水鉢は小さめですが、立派な龍がいました。

こけら葺き屋根の金堂

国分寺の金堂(本堂)は長宗我部元親が永禄元年(1558年)に寄進したもので、国の重要文化財に指定されています。天平様式を残した寄棟造りで、内部の海老虹梁は高知県最古のもの。

海老虹梁(えびこうりょう)
柱と柱の頭部をつなぐのが「虹梁」で、通常はゆるやかなS字カーブを描いています。海老虹梁は腰を曲げたエビのような形で湾曲しているのが特徴。

本堂の屋根は四国霊場のお寺ではとても珍しい「こけら葺き」で、2014年にふき替えられたばかりです。

建物の古さとあいまって、圧倒的な存在感です。いろんな角度からじっくり見たいですね。

そんな本堂でやたらと目立つ謎の黄色い物体、正体はおみくじ販売機でした。これは自動販売機で、100円を投入してボタンを押すとおみくじが出てきます。

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荘厳な大師堂

本堂のすぐ隣には大師堂があります。

本堂に比べるとややコンパクトなお堂ですが、本堂に負けず荘厳な雰囲気で、向拝の細かな彫刻は本堂より凝っているかも。大師堂も本堂と同じこけら葺きの屋根でしたが、昭和の改修で現在の銅板葺きになりました。

弘法大師が国分寺で星供の修法を修めたことから、御本尊の大師像は「星供大師」と呼ばれています。

酒断地蔵

大師堂の前には「酒断(さけだち)地蔵尊」という変わったお地蔵さんがお祀りされていて、酒豪なイメージがある高知県らしいと思いました。

もともとは「ひとこと地蔵」と呼ばれていたもので、一心に願いごとをすればひとつだけ叶えてくれるというお地蔵さんでした。あるとき、夫婦が『夫の酒をやめさせてほしい』とお願いしたところ、願いが叶ったのでそれから「酒断地蔵」と呼ばれるようになったとか。

酒断地蔵の隣には大きな地蔵さんと観音さんが並んでいます。

開山堂と土佐国総社

参道の途中、本堂に向かって左手には「開山堂」があります。創建年等は不明ですが、こちらには行基菩薩がお祀りされています。

開山堂の左奥に見えるのが土佐国総社で、国分寺側からは総社に入れず、一度境内から出ないと行けません。

総社(そうじゃ・そうしゃ・すべやしろ)
特定の地域内の神社にお祀りされている神さまを集めた神社。昔の県知事的存在である「国司(こくし)」は赴任地に到着後、すぐに定められた順に神社を参拝するという習慣がありました。これが現在でも「一の宮」、「二の宮」として残っています。該当する神社が近くにあればいいですが参拝に不便な場所もあるので、国府に近い場所に「総社」として神社を集め、そこに参拝するようになりました。

土佐国の式内社21社(安芸3、 香美4、長岡5、土佐5、吾川1、幡多3)を勧請して創建されたのが土佐国総社です。

総社はすでに廃れたものや再興されたものも多く、土佐国総社ももともとは国分寺から徒歩15分くらいの場所にありましたが、寛文9年(1669年)に藩主によって現在地に移されました。

★宮司さん宅で土佐国総社の御朱印がいただけるそうです。

土佐の苔寺

本堂へ向かう手前に中門があり、奥に進むと納経所があります。

国分寺は参道や本堂周辺も一面にスギゴケが広がっています。庭園も苔むしていて、別名「土佐の苔寺」と呼ばれてるのも納得。庭園はまんまるに刈られたツゲ?も印象的で、一面の緑が圧巻でした。

納経所にはお接待として無料のお茶やコーヒーがあるので、いただきながら庭園を眺めてみては。

庭園には愛媛県出身の俳人・高浜虚子(たかはま・きょし)の親族の句碑や朝吹いそ子の歌碑があります。

小坊主くん

残念ながら国分寺は小坊主くん不在。

まとめ

29番札所は四国霊場に4つある国分寺のうち、土佐国分寺です。現在の高知県の中心部からは離れた場所ですが、かつてはこのあたりが土佐国の中心地として栄えていました。

四国霊場ではとても珍しいこけら葺きの屋根の金堂(本堂)を始め、文化財の宝庫でとても荘厳な雰囲気のお寺でした。「土佐の苔寺」と呼ばれる庭園は手入れが行き届いていてとてもきれいなので、納経をするときはじっくりと見学してみては。

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四国八十八か所霊場第30番札所善楽寺(ぜんらくじ)は土佐国一の宮・土佐神社のすぐ隣にあります。明治初期の神仏分離で一時廃寺となりましたが、昭和初期に復興。その影響か、境内は比較的新しい建物ばかりです。四国霊場では珍しい女性の住職で、かわいらしい雰囲気のお寺でした。
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