滝宮天満宮では、毎年4月24日に「うそかえ祭り」というお祭りがあります。
木彫りのうそ鳥を境内にいる人で交換しあい、「一年の間に知らず知らずのうちについた嘘や厄災、穢れをはらう」という天満宮・天神社のみで行われている独自の行事で、全国各地に似たようなお祭りがあります。
四国では滝宮天満宮だけで行われているもので、お祭りには多くの人が参加してにぎわっています。
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「うそかえ祭り」について
うそかえ祭りは全国の天満宮・天神社で行われている行事で、太宰府天満宮や亀戸天神社のうそかえ祭りは全国的にも有名ですよね。
細かい部分は地域での違いがありますが、木彫りのうそ鳥を境内にいる人と交換しあい、替えれば替えるほど罪や穢れがはらい清められるといわれています。「うそかえ神事」自体はあっても、木鷽を交換しあうというイベントがある「うそかえ祭り」は珍しく、全国でも数えるほどしかありません。四国ではおそらく滝宮天満宮でのみ行われています。
・一年間の悪しきことをうそ鳥が身代わりとなって良きことに変えてくれる
・知らず知らずのうちについた嘘を誠にする
・災いや不幸が嘘になる
うそかえ祭りで授与される、うそ鳥のモデルになっているのがこの「鷽(うそ)」という鳥。鷽は梅の木に飛来する性質があるので、梅の花が好きだったという道真公にもゆかりがある鳥です。鷽→梅→道真公、なんだか連想ゲーム的なつながりですね。
それだけではなく天神社に蜂の大群が現れたときに鷽が蜂を追い払ったという故事があるそうで、滝宮天満宮には道真公が瀬戸内海で嵐にあったときに鷽に助けられたという言い伝えもあります。
滝宮天満宮でのうそかえ祭り
滝宮天満宮では昭和9年(1934年)から毎年うそかえ祭りが行われています。地域振興のために始まったお祭りですが、すっかり年中行事として定着して毎年たくさんの人が訪れています。
滝宮天満宮のうそかえ祭りの進行は以下のとおり。
- 午前10時~ うそ鳥授与(1回目)
- 午前11時~ 報恩謝徳祭
- 正午12時~ 献麺式、うそ鳥くじ抽選
- 午後13時~ うそ鳥授与(2回目)、神輿渡御、巫女舞、獅子舞
- 午後15時~ もち投げ
木鷽の授与
滝宮天満宮のうそかえ祭りでは、午前と午後の2回うそ鳥の授与があります。
10時からの授与に間に合うように9時30分くらいに滝宮天満宮に行きましたが、すでに長い行列ができていました。10時になると県道沿いの鳥居のあたりまで行列が伸びていて、かなりの人出です。
毎年1000体用意されるうそ鳥ですが、午前は10時から700体、午後は13時から300体の授与となっています。午後のほうが数が少ないので、確実に手に入れるなら午前の授与がおすすめですよ。
拝殿前にうそ鳥の授与所があり、テントの中では氏子の小学生の女の子たちが巫女装束で待機。参拝者がうそ鳥を選ぶとチビ巫女ちゃんたちが袋に入れてくれて、『ようお参りでした!』と元気よく渡してくれます。
選ばれるのを待っているうそ鳥たちは美形からブサカワまで個性があって、どれにしようかかなり悩みました。後で交換するのでそれほど悩む必要はないんですが、それでもかわいい子を選びたい。
早々に売り切れる年もあるそうですが、2019年は11時すぎでもまだうそ鳥は70体くらい残っていました。
滝宮天満宮のうそ鳥は「はぜの木」でできていて、クルクルとした羽根の部分は食紅で色をつけているそうです。微妙な表情の違いに手作り感が出ていますね。
うそ鳥には6桁の番号がありますが、頭の「31」は年度(平成31年)で、残りの4桁が0~1000のシリアルナンバーとなっています。
「かえましょう」の声が響く
うそ鳥を購入した後は、境内にいる人たちで交換しあいます。
あちこちで『かえましょう』『かえましょう』の声が響き、なんとなく目が合った人とどんどん交換していきます。最終的には20人くらいの人と交換しました。
うそかえ祭りの幕前は人気の写真スポットになっていましたよ。
この子はこの後交換したので、持ち帰った子とは別です。
くじ引きもあるよ!
うそ鳥を購入するとチビ巫女ちゃんが袋に入れてくれますが、袋の中にはうそかえ神事の説明とポケットティッシュが一緒に入っています。
ティッシュに入っているうそかえ祭りの紙の裏にはシールがはってあるので、必ずチェックしましょう。
- 5等(緑)→ボックスティッシュ
- 4等(赤)→ざる、たらい、バケツから一点好きなもの
1等から3等までは巫女による弓矢での抽選となり、うそ鳥に書かれた番号によって当たりとなります。
ほとんどの人が景品をもらっていたので当たり確率はかなり高そうなんですが、私はハズレでした。解せぬ。
報恩謝徳祭
11時になると、境内ではまだまだうそ鳥の交換がさかんに行われていますが龍燈院での報恩謝徳祭が始まります。
いつもは石碑だけの龍燈門跡に祭壇が組まれ、神職さんたちが祝詞をあげて巫女の奉納舞が行われます。
龍燈院は真言宗のお寺だったので、神事の前には般若心経を読んでいました。お坊さんの読経とは違うリズムで、かなり不思議な光景です。
まとめ
時間の都合で報恩謝徳祭までしか見られませんでしたが、うそかえ祭りはかなり楽しかったです。見ず知らずの人と声をかけあって、うそ鳥を交換するのは非日常的な体験でした。
早めに売り切れる年もあるそうなので、確実に手に入れるなら午前中の授与に間に合うように行くのがおすすめです。
持ち帰ったうそ鳥は粗末な扱いをしないように注意して、神棚に供えたり、神棚がない場合はリビングなどの家族が集まる場所に置いておくといいそうですよ。
全国で行われているうそかえ祭りですが、滝宮天満宮のうそ鳥は独特の表情でとてもかわいいです。タイミングを合わせて参拝して、うそ鳥をいただいてみてはいかがでしょうか。