四国八十八か所霊場第32番札所禅師峰寺(ぜんじぶじ)は南国市にあり、地元では正式名称の禅師峰寺よりも「峰寺(みねじ・みねんじ)」として親しまれています。
標高82mの小高い山の上にあって、境内からは雄大な太平洋のパノラマビューが拝める絶景のお寺でした。
境内には奇岩がゴロゴロしていて、独特の雰囲気があります。なかでも、奇岩を背にして立つ「峰寺不動明王」は迫力があって必見ですよ!
禅師峰寺へのアクセス
ようやく高知市に突入したと思いきや、禅師峰寺はちょっと戻って南国市にあります。小高い山の上にありますが、途中に大きな霊園があるため意外と車が通ります。道中は道幅が少し細いのでご注意ください。
★標識や看板は通称の「峰寺」と書かれている場合もあるので、見逃し注意です!
禅師峰寺の駐車場
参拝者が無料で利用できる駐車場があります(30台)。
駐車場にはいろいろな仏様が並んでいて、「仏様がおられますので、アイドリングストップで駐車をお願い致します」という注意書きが面白いです。十三仏っぽいですが、並び方はかなりランダムでした。
仏様に排気ガスをかけるわけにはいかないので、前向き駐車必須です!
公共交通機関でのアクセス
最寄り駅からの距離があるので、車以外で行く場合はバスがおすすめ。
・とさでん交通後免線「鹿児」停留所下車、6.1km
・南国市コミュニティバス「峰寺通」バス停で下車、800m
・とさでん交通前浜パークタウン線「緑ヶ丘三丁目」バス停で下車、1.9km
前後の札所
31番札所竹林寺から5.7km
33番札所雪蹊寺まで7.5km
禅師峰寺の御朱印
駐車場から階段を上がると本堂方面と納経所方面の分岐があり、表示通りに進むと納経所があります。
禅師峰寺の御影
禅師峰寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
禅師峰寺の納経受付時間
禅師峰寺の納経受付時間は7:00から17:00までです。
禅師峰寺について
寺伝によれば、聖武天皇の勅命を受けた行基が海上安全を祈願して堂宇を建立したのを起源とし、空海(弘法大師)はここを霊地と感得し虚空蔵求聞持法の護摩を修法、十一面観世音菩薩を刻んで本尊として祀り、山の姿が補陀落山の八葉の蓮台に似ていることから八葉山、求聞持法を修したことから求聞持院禅師峰寺と寺名を定めたという。
本尊は「船魂(ふなだま)の観音」と呼ばれ、古くから漁師たちの信仰を集め、また、土佐藩主山内一豊以来、歴代藩主の信仰を受けており、参勤交代で浦戸湾を出航する際には航海の無事を祈願したという。
(Wikipedia禅師峰寺より引用)
・土佐沖を航海する船舶の安全を祈るために創建されたお寺で、海上安全の御利益があります。土佐藩主も参勤交代の前に航海の無事を祈願しました。
・禅師峰寺は標高82mの「峰山」の頂上にあり、地元では「みねでら」として親しまれています。
・大同元年(806年)にこの地を訪れた弘法大師が奇岩が並ぶ境内を見て仏道の理想とされる天竺・補陀落(ふだらく)山を感得し、虚空蔵求聞持法の護摩を修法されました。
正式には八葉山(はちようざん)求聞持院(ぐもんじいん)禅師峰寺(ぜんじぶじ)といい、真言宗豊山派のお寺です。
禅師峰寺の御本尊
禅師峰寺の御本尊は十一面観世音菩薩、漁師からの信仰が篤い「船魂(ふなだま)の観音」と呼ばれています。駐車場にも大きな十一面観世音菩薩像がありました。
遠目ですが、本堂でも御本尊を拝顔できました。改めて見るとお厨子が開いているので、こちらはお前立ではなくて本物の尊像でしょうか。
禅師峰寺の見どころ
階段の先に仁王門
駐車場から仁王門まで、そこそこ急角度な石段があります。雨の日は滑りやすいので足もとにご注意を。階段沿いには丁石や仏像などが並んでいました。
仁王門前で合流する本来の遍路道はかなりハードモードな模様。手すりがなく、こちらもかなりの急角度でした。歩き遍路の方はご注意を。
階段の先では歴史あるたたずまいの仁王門が迎えてくれます。門の隣には真新しい感じの寺号標がありました。
雨の日の参拝だったので、全体的にモヤっとしているのが残念です。
暗くてわかりにくいですが、ちゃんと金剛力士像もいます。かなり古いもののようで、迫力ある表情でしたが網で囲われていて写真はうまく撮れませんでした。。。
禅師峰寺には鎌倉時代に作られた金剛力士像(国の重要文化財)がありますが、こちらはそれとは別の像で、重文の金剛力士は収蔵庫に移されています。
禅師峰寺の金剛力士像
木造、古色、玉眼、阿形142.5cm・吽形145.0cm、吽形像内に正応4年(1291年)定明作の銘がある。明治44.4.17指定(Wikipedia禅師峰寺より引用)
仁王門の扁額には山号の「八葉山」とありました。
わぁ、まだ階段が続くよ☆
手水舎のお地蔵さん
仁王門の手前には手水舎があります。こちらの手水舎にはニコニコ笑顔がかわいらしいお地蔵さんがいました。
合掌した手から水が出る変わった水口で、ハイテクなセンサー式。ちょっと近づくと水が出ます。穏やかなお地蔵さんの笑顔とうらはらに、水はなかなかの勢いで出るのでちょっとビクッとなりました。
不動明王と弁財天
仁王門の奥には小さな池があり、弁財天がお祀りされていました。やたらと鳥居が低く、少しかがまないと祠の中の尊像が拝めません。
弁財天の奥には不動明王がいて、めっちゃ迫力の表情!このお不動さんは「峰寺不動明王」と呼ばれています。
不動明王像といえば一般的に「迦楼羅炎」と呼ばれる炎を背負っていますが、こちらは変わった形の岩を背にしていて、天然の迦楼羅炎のようでした。
ここに不動明王像を安置しよう!と考えた人のセンスに脱帽です。
こんな不思議な岩、なかなか見かけませんよね。
禅師峰寺はそれほど広くないお寺なんですが境内には今もこんな変わった岩がゴロゴロしていて、”弘法大師が奇岩が立ち並ぶ姿を見て霊地であると感得した”という縁起が実感できました。
オーシャンビューの絶景!
階段を上がると右手に本堂、左手には広場があり、ちょっとした展望スポットとなっています。テンション上がってお参りの前に景色を眺めてしまいました。
眼下にひろがるのどかな田園風景と雄大な太平洋。周辺には高い建物がなくて視界が開けているので、かなり眺めがいいです。桂浜へと続く「浦戸大橋」も見えました。少しずつ高知県の中心部に近づいてきたことを実感できますよ。
絶景!というには写真がポンコツですが、ここからの眺めは本当にパノラマビューの絶景なので、ぜひ現地でご堪能ください。晴れた日にゆっくりと眺めたい景色で、参拝したときは小雨が降るどんよりした曇り空だったのが残念でした。
鐘楼
本堂の右隣に鐘楼があります。禅師峰寺の梵鐘は高知県の保護有形文化財に指定されています。
鋳銅、総高81cm、口径57cm徳治3年(1308年)在銘、昭和59.3.16指定
(Wikipedia禅師峰寺より引用)
国の重要文化財に指定されている金剛力士は収蔵庫に移されていますが、梵鐘は本物なのかな?とくに表示はなかったと思うのですが、見落としたかも。
鐘楼の回りには大小さまざまなサイズのお地蔵さんが並んでいました。
本堂
本堂も仁王門並みに歴史あるたたずまいでした。手前に香炉やろうそく立てがありますが、屋根付きなので雨の日の参拝も安心。ただ、本堂の全景は写真に収めるのが難しいです。
本堂は中に入ることはできませんが、扉が開いているので遠目に御本尊を拝顔できました。
本堂の縁側には賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)もいます。「びんずるさん」と呼ばれるなで仏で、体の悪いところと同じところをなでると病気が治ると信仰されています。
びんずるさんといえば生命力がみなぎるさまを表す真っ赤なボディが特徴なんですが、禅師峰寺のびんずるさんはなぜこんなにどす黒いのか…。しかし、おだやかな顔をしておられました。
大師堂
本堂のすぐ隣に大師堂があります。こちらは本堂よりは新しい感じの建物ですが、同じように手前に屋根付きの構造となっていました。
大師堂も中には入れませんが扉が開いていて、大師像を拝顔できます。
地蔵堂と阿弥陀堂
大師堂の左奥には地蔵堂と阿弥陀堂が仲良く並んでいました。扉が少し開いていて、お堂の中がうっすら見えますが尊像は暗くて拝顔できず。
奇岩と狸
境内にはゴツゴツとした奇岩が並んでいて、岩の上には小さなお堂もあったり。こちらは高い位置にあるので近づくことはできず、お堂の中の尊像とつながる綱に触れてお参りします。
禅師峰寺はなぜかいたるところに狸の像がありました。ご住職の趣味でしょうか。
こちらは僧侶風の装いでお寺っぽくていいですね。
こちらは納経所前にいた狸。謎のセクシーポーズです。
小坊主くん
禅師峰寺には本堂前にいました。水色のおしゃれ帽子をかぶってご満悦でした。
まとめ
禅師峰寺は駐車場から本堂まではやや急角度な階段がありますが、小高い山の上にあるのでとても景色がいいお寺でした。高知県の観光名所である桂浜へと続く浦戸大橋も見えて、高知県中心部へと近づいてきたことが実感できます。
あまり広いお寺ではありませんが、境内にはゴツゴツとした奇岩が転がっていて独特の雰囲気。奇岩をいかした「峰寺不動明王」は必見です!
ちなみに、禅師峰寺を打ち終わると16か寺ある高知県の札所も残り7か寺となり、修行の道場も中盤。だんだんと札所間の距離が伸びていきます。。。
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