四国八十八か所霊場第7番札所十楽寺は阿波市土成町にあります。少しずつお寺とお寺の間の距離が離れていき、景色もすっかり田舎の田園風景。お遍路気分が盛り上がってきますね🤗
十楽寺は竜宮城のような赤い門と眼病を治してくれるというお地蔵さまが有名なお寺で、御本尊の納経以外にも愛染明王の御朱印がいただけますよ。
1番札所からの歩き遍路の場合、十楽寺で1日目を終える方がほとんど。お遍路さんは宿坊を利用する方も多いと思いますが、十楽寺はビジネスホテルのようなきれいな宿坊が大人気です。
十楽寺へのアクセス
十楽寺は山に近い広域農道沿いにあり、公共交通機関でのアクセスが不便なため、車で行くのがおすすめです。県道139号線から広域農道に入りますが、周辺には案内標識が複数あるので場所はわかりやすいと思います。
・徳島自動車道土成インターから2.3km
十楽寺の駐車場
十楽寺には参拝客が無料で利用できる駐車場があります(普通車30台)。
公共交通機関でのアクセス
十楽寺は公共交通機関でのアクセスが不便な場所にあります。車以外で行く場合は駅からタクシーを利用するか、バスの利用がおすすめです。
JRを利用する場合(もはや最寄り駅ではない)
- JR高徳線板野駅から9.7km
- JR徳島線牛島駅から6.4km
バスを利用する場合
- 徳島バス鍛冶屋原線に乗車し「東原バス」停で下車、800m(徒歩約10分)
前後の札所
6番札所安楽寺から1.2km
8番札所熊谷寺まで4.2km
十楽寺の御朱印
十楽寺は、本堂右手にある宿坊の1階が納経所となっています。
十楽寺の御影
十楽寺で納経をすると、御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
カラーの御影をいただく場合は別途200円が必要です。
十楽寺の納経受付時間
十楽寺の納経受付時間は7:00~17:00までです。
十楽寺について
寺伝によれば、空海(弘法大師)がこの地に逗留した際に阿弥陀如来を感得し、楠にその像を刻み本尊として祀ったとされる。その際に、空海は人間の持つ八苦(生、老、病、死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦)を離れ、極楽浄土に往生すると受けられる十の光明に輝く楽しみ(聖衆来迎楽、蓮華初会楽、身相神通楽、五妙境界楽、快楽無退楽、引接結縁楽、聖衆倶会楽、見仏聞法楽、随心供仏楽、増進仏道楽)が得られるようにと山号・寺号を「光明山十楽寺」とした。当初は現在地よりおよそ3km離れた十楽寺谷の堂ヶ原に堂宇を建立したものと推定されている。
阿波北部でも有数の広大な七堂伽藍を有していたが、天正10年(1582年)に長宗我部元親の兵火によりすべてが焼失、しかし、本尊・脇仏・舎利仏など大切なものは住職真然と弟子が運び出し大門ケ原に安置したが、弟子は矢に射られ死んでしまった。その後、寛永12年(1635年)に現在地で再建された。(Wikipedia十楽寺(阿波市)より引用)
十楽寺は大同年間(806年~810年)の創建で、弘法大師が御神木の楠に阿弥陀如来を刻み御本尊として安置したのが始まり。当時は現在の場所ではなく、少し離れた「十楽谷」という場所に徳島県北部では有数の広大な伽藍があったといわれています。
「十楽寺」という寺号は弘法大師がつけたもので、人間の持つ「八つの苦難」を離れ、極楽浄土で受けられる「十の光明に輝く楽しみ」が得られるように、という意味がこめられています。
伽藍は長宗我部元親の天正の兵火(1582年)により全焼していますが、御本尊や脇仏は当時の住職が背負って逃げたため現存しています。寛永12年(1635年)に現在の場所に再建されました。
正式には光明山(こうみょうざん)蓮華院(れんげいん)十楽寺(じゅうらくじ)といい、古義真言宗(真言宗単立)のお寺です。
八つの苦難、十の楽しみとは
十楽寺の寺号の元となった「八つの苦難」と「十の楽しみ」って何?と思ったあなたに簡単に説明🤗
八つの苦難とは生・老・病・死・愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦
- 愛別離苦(あいべつりく):愛する者と必ず別れなければならない苦しみ
- 怨憎会苦(おんぞうえく):憎しみあう者と会う苦しみ
- 求不得苦(ぐふとうく):求めるものを得られない苦しむ
- 五陰盛苦(ごおんじおく):身心の苦悩
十の楽しみとは、
聖衆来迎楽(しおじゅうらいごうらく):臨終のときに阿弥陀仏や聖衆が迎えて浄土へと導いてくれる楽
蓮華初会楽(れんげしおかいらく):蓮華の台座にたくして極楽往生した行者が限りない歓楽を受ける楽
身相神通楽(しんそうじんつうらく):極楽の衆生はその身が常に光明で内外ともに清らかである
五妙境界楽(ごみょうきょうかいらく):色声など五種の対象が絶妙であることをいう極楽世界の楽
快楽無退楽(げらくむたいらく):仏道修行の過程においてすでに得た悟りや功徳がなくならないこと
引接結縁楽(いんじょうけちえんらく):極楽往生して神通自在となり、生前恩を受けて縁を結んだ人を浄土へ引き取る楽しみ
聖衆倶会楽(しおじゅくえらく):極楽で互いに語り法楽を得ること
見仏聞法楽(けんぶつもんぽうらく):極楽に往生して常に阿弥陀仏を見て深い教えを聞くことができる
髄心供仏楽(ずいしんくぶつらく):心のままに仏を供養する楽しみ
増進仏道楽(ぞうしんぶつどうらく):極楽に往生すれば自然に仏道を増進する
それぞれの言葉の意味を見てもよくわかりませんが、人は生きている間はとにかく苦しみがいっぱいで、極楽浄土に行けば楽しいよ的なやつ👍とりあえず、確実に極楽浄土へ行くためにみんな仏教やろうぜ!ということですね(強引)。
十楽寺の御本尊
十楽寺の御本尊は阿弥陀如来。御影にも3体の仏さまが描かれているように、御本尊には勢至菩薩と観音菩薩が脇仏として控えていて、この脇仏は鎌倉時代の作といわれています。
天正の兵火のとき、当時の住職が超ファインプレーで守った御本尊は秘仏のため一般公開されていません。
十楽寺の見どころ
十楽寺で「個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
竜宮城のような鐘楼門
6番札所安楽寺に引き続き、十楽寺でも竜宮城のようなデザインの鐘楼門があります。この門はイメージそのままに「竜宮門」と呼ばれています。
右隣のお寺っぽくないスタイリッシュな建物、これが有名な十楽寺の宿坊です💁♀️
この鐘楼門、通るときはぜひ見上げてみてください!天井がすごく華やかなんですよ✨色鮮やかに梵字が描かれていました。
鐘楼門をくぐると、続いて遍照殿(へんじょうでん)というシンプルな中門があります。中門があるのは四国霊場のお寺では珍しいかも🤔
中門の目の前には70体ほどの水子地蔵がズラッと並んでいました。
賓頭盧尊者
安楽寺の本堂には賓頭盧(びんずる)尊者がいます。「びんずるさん」と呼ばれ、なで仏として有名な仏さまで自分の体の悪いところと同じ場所をなでるといいといわれていますよ。
しかし、十楽寺のびんずるさんは一切なでさせる気がなく、コンパクトなお堂にみっちりと入っています。そして顔が怖い😂
眼病を治してくれるお地蔵さま
十楽寺でいちばん有名なのが、この治眼疾目救済地蔵尊(ちがんしつめきゅうさいじぞうそん)。「地蔵尊」とかいいながら、お地蔵さまのフォルムではなくどこから見てもただの石。
数百年前、親孝行な息子が目が見えない母親を連れて四国遍路をしたとき、十楽寺の大師堂の下にあったこの石になぜか心ひかれて、地蔵菩薩の御真言「おん かかか びさんまえいそわか」を一心不乱に唱えました。すると、母親の目が突然見えるようになり、それ以降この石は眼病を治してくれる仏さまとして信仰されています。
この石がいつから十楽寺にあったのかは不明ですが、弘法大師ゆかりの修行僧が置いたものという説があるそうです🤔
ビッグ不動明王
十楽寺の境内には巨大な不動明王像があります。胴長短足でアンバランスなお不動さんですが、石に豪快に彫られた力強いお姿が印象的。
この不動明王は太平洋戦争の特攻で亡くなった予備学生の慰霊と世界平和や交通安全のために安置されたもので、第十三期海軍予備学生から名前を取り十三不動明王と呼ばれています。
近くには普通サイズの不動明王像も。剣がでかい😂
子育地蔵
笠をかぶった「子育地蔵尊」は赤ちゃんを抱いて優しい表情をしています。子育地蔵には赤ちゃんを災難から守るという御利益がありますよ。
花開く傘みくじ
十楽寺には変わったおみくじがありました。その名も「花開く傘みくじ」☔傘の形になった珍しいおみくじで、開くと運勢などが書かれています。
思いのほか固くてなかなか傘が開かず、破れるかと思いました😂このおみくじは納経所内にあり、セルフサービスで購入できます。
全国的にも置いている寺社が少ない、かなりレアなおみくじだと思います✨徳島では他に阿南市の津峯(つのみね)神社で見かけましたが、四国の他県や淡路島にはないかもしれません🤔
十楽寺といえば宿坊!
十楽寺といえば、まるでビジネスホテルかのような宿坊で有名です。
たしかに、この外観はお寺の施設には見えませんよね。お遍路さんは序盤で宿坊に泊まるとき6番札所安楽寺と十楽寺で迷うというほど、徳島の宿坊では人気ツートップです。
個室で各部屋にバストイレつき、建物も新しくて設備がとても充実しているとか。消灯時間がなく、外出も自由です💁♀️
素泊まり(朝食付き)シングル 6,500円~、ツイン5,500円~
一泊二食付き シングル8,000円~、ツイン7,000円~
※要電話予約 088-695-2150(受付時間7:00~17:00)
詳しくは十楽寺公式ホームページで
小坊主くん
十楽寺といえば、縁結びの愛染明王
十楽寺は愛染明王をお祀りしていることから、縁結びや家庭円満の御利益でも有名。しかし、境内にはそれらしきお堂が見当たりません🤔
愛染明王がどこに安置されているのかというと、鐘楼門の次にくぐる遍照殿の中なんです!
あらゆる良縁を結んでくれる!愛染明王に願いを
遍照殿には両サイドに入り口がありますが、愛染明王へお願いしたい内容によって縁結びは左側から、縁切りは右側から入るというルール。うっかり間違えないようにご注意ください💦
どちらから入っても、階段を上がると同じところに出ます。
遍照殿では御本尊の愛染明王を間近で拝顔できます。
愛染明王は煩悩を悟りに変えて菩提心(悟りの境地)まで導いてくれるというありがたい仏さま。愛染明王が放つ矢は大いなる慈愛の力ですぐに目標に到達することから、息災・増益・敬愛・降伏の御利益があり、効果が早く表れるといわれています。
また、愛染明王は人間の愛欲や欲望を否定しない珍しい仏さまで、「愛に染める」という名前から男女の縁を結んでくれるという信仰があります。男女の縁に限らずあらゆる良縁を結んでくれるため、友人の縁や仕事の縁、必勝祈願や商売繁盛まで幅広く対応していますよ💁♀️
愛染明王に縁結び祈願
愛染明王の前には「良縁祈願」と書かれた箱があり、お遍路さんはここにも納め札を入れています。
「恋成たらいうどん」の箸袋を納めて絆を深める
土成町の名物といえばたらいうどんですが、一部のお店に「恋成(こいなり)たらいうどん」というものがあります。恋人同士や夫婦で食べると愛が深まる的な、カップル向けのやつです。
お店で恋成たらいうどんを注文するとピンク色の特別な箸袋に入ったお箸が出てくるので、2つの箸袋をしっかりと結んで十楽寺の愛染明王のたらいに奉納します。
実際に、恋成たらいうどんスタート記念で婚活パーティーを開いたところ、2組のカップルが誕生したというスピーディーな御利益が話題となりました(2011年)。
十楽寺前のうどん屋さんでも以前は恋成たらいうどんが提供されていましたが、今はやっていないようでした。「道の駅どなり」や御所のたらいうどんのお店では今も食べることができます。
カップルやご夫婦はぜひ😆
愛染明王の御朱印
十楽寺では愛染明王の御朱印もいただけます。御朱印帳を出して愛染明王の御朱印をお願いすると書置きを渡されたので、書置きのみの対応かもしれません。
御影の授与はないようでした。
まとめ
十楽寺は6番札所安楽寺とちょっと名前が似ていて、同じような竜宮城っぽい門があり、さらにどちらも宿坊が人気というややこしさがあります😂
目を治してくれるお地蔵さまと、愛染明王の縁結びの御利益が十楽寺の個性です。愛染明王は遍照殿の2階に安置されているので、忘れずにお参りしてくださいね。愛染明王の御朱印もいただます💁♀️
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