小松島市にある地蔵寺は住宅街の中にあり、地域で親しまれているお寺。地蔵寺は開創から長い歴史があり、”四国霊場の札所になり損ねた”という面白いエピソードもあります。
境内には徳島藩主にも絶賛された名水「宝寿水」が湧くことで有名で、容器を持参すれば持ち帰ることもできますよ。
地蔵寺へのアクセス
曼荼羅霊場は四国八十八か所霊場ほどしっかりした案内標識がなく、場所は少しわかりにくいです。
徳島市内中心部から車で20分程度の場所にあり、県道33号線沿いに地蔵寺の看板があるので、案内にしたがって進みます。
地蔵寺の駐車場
地蔵寺には駐車場がなく、境内に車を停める形でした。
車で宝寿水をくみにくる地元の方が多いのでいつも何台か停まっていますが、本堂前は普通車5台程度なら駐車できます。駐車料金は無料です。
公共交通機関でのアクセス
地蔵寺に車以外で行く場合、JRとバスが利用できます。
- JR牟岐線南小松島駅から徒歩10分
- JR徳島駅から徳島バス横瀬西行きに乗車し「南千歳橋」バス停で下車、徒歩3分
地蔵寺の御朱印
地蔵寺は複数の霊場の札所となっていて、御朱印は3種類あります。
- 新四国曼荼羅霊場第80番札所
- 阿波六地蔵霊場第5番札所
- 阿波秩父観音霊場第19番札所
本堂の右隣にご住職のご自宅兼納経所があり、そこで書いていただけます。
新四国曼荼羅霊場
阿波六地蔵霊場
「鼠つき地蔵尊」と書かれています。
阿波六地蔵霊場の納経をするとカラーの御影をいただけます。霊場専用の納経帳には御影を貼るスペース(右ページ)があります。
▼阿波六地蔵霊場について、詳しくはこちらをご覧ください▼
地蔵寺の御影
地蔵寺で納経をすると御本尊のお姿を描いた御影(おすがた・おみえ)が無料でいただけます。
新四国曼荼羅霊場にもカラーの御影があるのかは不明。
地蔵寺では金長神社の御朱印もいただけます
門に掲示されているとおり、地蔵寺は金長神社(金長大明神)の御朱印授与所となっています。納経所で『金長神社の御朱印をいただきたい』と申し出ると、書置きの御朱印をいただけます。
▼金長神社について詳しくはこちら▼
地蔵寺の納経受付時間
地蔵寺の納経受付時間は納経所に掲示がありませんでした。
新四国曼荼羅霊場の札所共通の受付時間が7:00~18:00まで(一部のお寺は17:00まで)となっているので、参考にできるかと思います。
地蔵寺について
地蔵寺は弘法大師が開基したと伝わっています。
元和7年(1621年)に中興され、初代徳島藩主・蜂須賀家政からの信仰が厚かったといわれています。藩内の僧風を正すために設けられた「門主寺」のひとつで、近隣の住民や歴代藩主から崇敬され、保護されてきました。
地蔵寺には”弘法大師からお寺を任された後任の住職が居眠りをしていたため、四国霊場の札所からはずされた”という「いねむり大師」の伝承があります。干支選びレースのときの猫みたいな面白エピソードですね。
正式には國傳山(こくでんざん)寶珠院(ほうじゅいん)地蔵寺(じぞうじ)といい、真言宗大覚寺派のお寺です。
地蔵寺の御本尊
地蔵寺の御本尊は弘法大師作と伝わる地蔵菩薩像。御本尊の両側には脇侍として不動明王と毘沙門天が控え、こちらは平安時代に作られたものといわれています。
寛政年間に御本尊の地蔵菩薩像が持つ錫杖(しゃくじょう)にねずみが突き止められていたという伝承があることから、「鼠つき地蔵」とも呼ばれています。
本堂は格子の間から中がうっすら見えますが、御本尊は拝顔できません。
地蔵院についてはこちら💁♀️
地蔵寺の見どころ
地蔵寺で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
ホラーな金剛力士像
地蔵寺には立派な仁王門があります。この仁王門は元和元年(1615年)に建てられたもので、小松島市内最古の木造建築物だとか。
駐車スペースが本堂前なので、正式な参拝ルートとしては一度本堂や大師堂を通り過ぎてこの仁王門まで回ることになります。金剛力士像は木の柵でガッチリとガードされていてちょっと見えにくいんですが、中をのぞくと…
穴だらけでちょっとホラー。目がないと怖いよう😥
鐘楼
本堂の前には鐘楼。中に入れないようになっていて、お寺の方以外はつけないっぽい。
鐘楼の前には君が代によまれた「さざれ石」と、昭和天皇と香淳皇后(こうじゅんこうごう、昭和天皇の后)が小松島に行幸された際に詠まれた歌の歌碑があります。
昭和29年(1954年)、小松島市主催で御座所の対岸から提灯行列や阿波踊り、仕掛け花火をご覧に入れ、そのときの様子を昭和天皇が詠まれたもの。
大師堂
仁王門を入るとすぐ目の前に大師堂があります。
地蔵寺の大師堂には弘法大師像のほか阿弥陀三尊、青面金剛が安置されていますが、厨子がぴっちりと閉じられていて拝顔はできません。
「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿を従える青面金剛がお祀りされているからか、大師堂には猿の彫刻がありました。猿の彫刻って、あまり見かけない気がします。
宝珠殿
大師堂と本堂の間には阿弥陀如来を安置する宝珠殿があります。
阿弥陀如来を中心に左に不動明王、右に普賢菩薩をお祀りしています。それぞれ「西国三十三霊場ご本尊」「信濃善光寺ご本尊」と書かれていますが、由来は不明。
こちらも厨子がぴっちり閉じられていて、拝顔はできません。
阿波公方館跡が移築された本堂玄関
地蔵寺の本堂玄関と書院は阿波公方館跡から移築されたもので、徳島県指定有形文化財となっています。武家屋敷風の重厚なつくりで、屋根には菊の御紋がいっぱい。彫刻もゴージャスでした✨
一瞬ですが、室町幕府には徳島育ちの将軍がいたことをご存知ですか?
11代将軍・足利義澄の次男、義維(よしつな)は兄の義晴との将軍の座をめぐる争いの末、阿波国平島庄古津村に移り、阿波の戦国武将・三好氏の庇護のもと居住。上洛の機会をうかがっていました。
三好三人衆と松永久通(松永久秀の嫡男)が13代将軍・足利義輝を暗殺した後、義維の長子・義栄(よしひで)が第14代将軍に擁立されました。征夷大将軍となるための官位は授かったものの、三好氏と松永久秀の間で権力争いが起こってしまい、義栄は上洛できないまま2年半の間待ちぼうけとなります。織田信長が足利義輝の弟・義昭とともに上洛したため、争いに敗れた義栄は将軍の座を追われてしまいました🥺
若くして亡くなった義栄の弟・義助が阿波公方家を継ぎ、270年に渡って阿波国に居住していました。
多宝塔
地蔵寺の境内でひときわ目立つ大きな多宝塔は明治16年(1883年)に建立されたもの。多宝塔の中には釈迦の弟子である「十六羅漢」がお祀りされていますが、現在は塔の内部は見えません。
多宝塔の隣にはスタイリッシュなお釈迦さまの像。両サイドには文殊菩薩と普賢菩薩がいるタイプの釈迦三尊像です。
反対側には仏足石もあります。
鎮守堂
ちょうど本堂の向かいに鎮守さんがあります。鳥居の扁額も「鎮守」となっていて、どんな神さまがお祀りされているのかは不明。こちらの鎮守さん、小さなお社ですがすごい凝った彫刻があります。
木鼻の獅子さんも作りこまれています。肉球がプニプニでした。
宝寿水
地蔵寺の境内には「宝寿水(ほうじゅすい)」という地下水が湧いていて、名水として知られています。阿波公方や蜂須賀氏にも絶賛され、来訪のたびに所望されたというほど昔からある地蔵寺名物です。
参拝している間にも、近所の人がポリタンク持参でひっきりなしにくみに来ていました。
猫がいるお寺
地蔵寺は猫がたくさんいるお寺で、いつ参拝しても必ず何匹か見かけます。
まずは多宝塔でお昼寝中の猫さんを激写。撫でさせてはくれませんが、近づいても逃げない子でした。お耳の先がカットされていたので、地域猫っぽいです。
この子は首輪をしているので、おそらく地蔵寺の飼い猫だと思われます。いつも足元にスリスリしに来てくれて、人懐っこい子です。
門前には「猫飛び出し注意」のかわいい看板もあり、猫に優しいお寺でした。
まとめ
地蔵寺は小松島市の住宅街の中にあり、近所の人が毎日「宝寿水」をくみにやってくるほど親しまれているお寺でした。
御朱印は新四国曼荼羅霊場と阿波六地蔵の2種類があり、金長神社の御朱印もいただけます。
境内はそれほど広くはありませんが、徳島県の文化財に指定されている本堂や小松島市内最古の木造建築である仁王門など見どころがたくさんありました。
地蔵寺へ行くときは、宝寿水用の容器を持参して参拝するのがおすすめですよ。
▼次の札所はこちら▼
おすすめのお立ち寄りスポット
地蔵寺の近くで御朱印がいただける神社仏閣や、合わせて行きたいおすすめスポットをまとめました。
金長神社
地蔵寺から車で5分くらい、ジブリアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」にも登場した金長狸を祀る神社です。御朱印やお守りなどの授与品は地蔵寺にあります。
BAUMカフェ
JR南小松島駅から150mと最寄り駅から徒歩圏内、地蔵寺からも歩いて行けるほどアクセス便利なカフェ。住宅街の中にあり、場所はややわかりにくいですがオレンジ色のコンテナが目印。
ランチは日替わりで税込み850円~とお手頃価格、カラフルでかわいいクリームソーダも人気です♡
■定休日:月曜日
■座席:16席(テーブル、カウンター)
■駐車場:無料(お店の前に5台分くらい)
▼食べログ▼