持正院(じしょういん)は徳島市と名西郡神山町の境目、入田町にあるお寺。「入田聖天(にゅうたしょうでん)」として親しまれています。
大正時代の創建なのでお寺としては比較的新しいため、徳島県内でもあまり知られていないかもしれません。場所はとてもわかりやすく、四国八十八か所霊場第13番札所大日寺や一宮神社のすぐ近くです🤗
徳島のお寺では珍しく、御本尊・歓喜天の大好物である大根のスタンプが入ったちょっとカラフルな御朱印がいただけますよ✨
持正院へのアクセス
四国八十八か所霊場第13番札所大日寺や一宮神社のすぐ近くで、道路沿いに看板あり。JR徳島駅から車で30分くらいです。
持正院の駐車場
本堂前に広場があり、そこに駐車可能です。料金は無料。
公共交通機関でのアクセス
最寄り駅からはかなりの距離があるため、車以外で行く場合はバスがおすすめ。
・JR徳島線府中(こう)駅から4.1km
・JR徳島駅から徳島バス神山線に乗車し「一宮札所前」バス停で下車、徒歩2分
持正院の御朱印
持正院の御朱印は書置きのみの模様。センターの「大聖歓喜天」の文字は金色で、ほんのりラメ入りっぽいキラキラした感じです✨お聖天さんの大根と寺号の印は黄緑色で、派手すぎずちょっとだけカラフルな御朱印。徳島のお寺では珍しいですよね😊
こちらは12cm×18cmの御朱印帳に貼った状態ですが、書置きの紙は小さめでやや厚手。11cm×17cmの小さいサイズの御朱印帳にもそのまま貼れそうな大きさです。
- 本堂左側に祈祷受付・授与所あり
- 受付時間:9:00~16:00まで
限定御朱印もあり?
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こちらは持正院の公式インスタグラムから。10月20日・21日に行われている秋の大祭「大護摩供」では、昨年2019年にはいつもと違う特別な御朱印があったようです。真っ赤な紅葉が散りばめられて、さらにカラフル!
昨年は持正院で御朱印がいただけることを知らず、残念ながら未拝受。今年もあればいいな😆💦
持正院について
創建されたのは大正14年(1925年)5月15日で、比較的新しいお寺です。檀家を抱えた一般的なお寺ではなく、祈祷を専門にする祈祷寺だとか。
持正院でも1000円~(お気持ち)の祈祷料で商売繁盛・家内安全・良縁成就などの祈願を受け付けています(要予約、詳しくは持正院の公式ホームページでご確認ください)。
お寺の歴史などの詳細は不明ですが、ホームページには
天下人・豊臣秀吉は、お聖天さん(大聖歓喜天)の熱心な信者でした。当院の本山である京都市伏見区の醍醐寺にも、秀吉が寄進したお聖天さんの御像がお祀りされています。
秀吉は、全国統一の布石として四国平定を進めます。そして、阿波の国(現在の徳島県)に弟の秀長を遣わして、当時、長宗我部氏が占拠していた徳島県内最大の山城、一宮城を攻略しました。秀吉は自らが治めた土地にお聖天さんをお祀りしたといわれています。一説には、一宮城の城下町、一宮村(いまの徳島市一宮町)にも、これが契機となり、聖天信仰が根付いたのではないかといわれています。
このような記載があり、一宮町周辺には古くから聖天信仰があったとのこと。
正式には安都真山(あづまざん)持正院(じしょういん)といい、真言宗醍醐派のお寺です。寺号は不明。
持正院の御本尊
持正院の御本尊は大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)、「聖天(しょうでん・しょうてん)さん」と呼ばれて親しまれています。歓喜天はインド出身の神さまで、「ガネーシャ」のように頭が象、体は人間という変わったお姿をしています🐘
仏教の守護神となる前の歓喜天は暴れん坊の困ったちゃんだったので、十一面観音が美女に変身してなだめたというエピソードがあり、歓喜天と十一面観音はセットでお祀りされることが多いそうです。
すぐ近くの四国霊場13番札所大日寺は御本尊が十一面観音ですが、さすがに関係ない…かな?🤔余談ですが、大日寺の御本尊は元札所である一宮神社の御祭神・大宜都比売命(オオゲツヒメノミコト)の本持仏とされていました。行基菩薩作と伝わる尊像です。
持正院の見どころ
持正院で個人的に気になる&おすすめの見どころを写真つきでご紹介します!参拝される前にチェックして参考になさってくださいね。
コンパクトなお寺です
持正院は道路沿いではなく、ちょっと奥まった場所にあります。道路沿いのこの看板が目印ですが、カーブになっているので見落としてしまうかも💦
看板のところで曲がると路地沿いに数件の住宅が並んでいますが、すぐ突き当りになります。正面には普通のお宅が見えるので、『…お寺はどこ??』と一瞬とまどうかも。
ダイレクト本堂
見上げると、石垣の上にデーーーンと本堂。お寺っぽい仁王門や山門がなく、ストレートに本堂にたどりつきます。
注連柱や玉垣の雰囲気から、お寺というより神社っぽい感じがありました。歓喜天を祀る「聖天堂」があるお寺の場合、お堂の前や参道に鳥居があったりもするので、仏教に取り入れられてはいますがお聖天さんはやっぱり仏さまではなく神さまなんですね🤔
☟階段の途中にはレトロな手水舎と、
☟謎の石碑。
ちょっと文字が薄れていて読みにくいですが、石碑には「栄覚先生敬仰碑」と刻まれていました。”栄覚先生”は持正院を創建した清水栄覚初代住職のことのようです。
当院は清水栄覚(明治13年~昭和36年)によって創建されました。明治13年、その一宮で栄覚は農家の長男として生を受けました。栄覚は幼少期より敬神崇仏の心の深い少年でした。当時、一宮で大先達として聖天信仰を伝道していた方に師事し、その奥義を極めます。
栄覚が24歳のとき、日露戦争が勃発します。栄覚は召集され乃木将軍率いる旅順攻囲軍に配属されます。激戦となった203高地の戦いで所属した部隊は幾度も全滅の悲運に遭いますが、栄覚は敵の銃弾を数発受けたものの命に別状なく生還を果たしました。
その後、大先達の方が亡くなり、永く人々の信仰を集めた聖天さんの御神体は徳島県石井町の蓮光寺に移されます。その後、当時の名東・名西・勝浦郡の有志が話し合い、栄覚を座主として殿堂を建立することとなりました。栄覚自身これに要する元手は持ち合わせていませんでしたが、地元の資産家から土地の寄進を受け、建造に係る資材一切も多くの信者からの寄進によって賄われました。香川の八栗寺より御神体を分祀し、大正14年、持正院は開山しました。
もとは信心がなかった人も、栄覚の行者力によって「難しいと言われた病が治った」、「憑き物が払われた」など様々なお願い事が成就したことで多くの方が信心するようになり、のちに先達になった方もいます。そうした栄覚の行者力によりお聖天さまの“おかげ”を賜ろうと持正院には県内各地からたくさんの方がお参りに訪れるようになりました。年三度の大法要「大護摩」には屋台が出たほか、参拝者が本堂に人が入り切らず、縁側や伝い廊下にまで立ち見が出るほどでした。
このような話も伝わっています。あるとき信者たちがバスを貸し切って八栗寺へ参拝に行きました。無事持正院まで帰ってきて、さあ帰ろうというときに一人の男性が「八栗山に傘を忘れた。」と言い出しました。当時、傘は高級品で今のように簡単に買い替えることもできません。すると栄覚は「ちょっと待っといて。」と言って本堂に入っていきました。その数分後、本堂から出てくるとおもむろに「あなたの傘はこれで?」と傘を見せます。それはまさに男性が八栗山で忘れた傘でした。皆はたいへん驚いたといいます。ほかにも、「宙に浮いた」という話など数々の逸話が語り継がれています。
長きにわたり、国家の安寧と信者の幸福を祈願し続けた栄覚は昭和36年、天に召されました。そののち本山醍醐寺から一階級上の権小僧都の称号が送られ、数年後、顕彰する石碑が境内に建てられました。当院は今もお聖天さんの祈祷寺として、その志を現代に引き継いでいます。どうぞ、みなさまもご来山の際には本堂にご参拝ののち、碑にも併せてお参りください。(持正院公式ホームページより引用)
初代住職である清水栄覚氏は子供の頃から信心深く、聖天信仰の先達さんに師事していました。師匠だった先達さんが亡くなり、長らく信仰されていた御神体は石井町の蓮光寺に移ったそうで、持正院創建にあたっては新たに八栗寺(香川県高松市、四国八十八か所霊場第85番札所)から分霊されました。八栗寺(やくりじ)は「八栗の聖天さん」としても有名で、境内には立派な聖天堂があります。
清水栄覚氏には不思議な力があったようで、その評判が広まり病気平癒などの祈願のために県内各地から多くの方が訪れるようになったとか😲
亡くなった後は醍醐寺より「権小僧都(ごんのしょうそうづ)」という僧侶の位が送られました。
山を背にして建つ、立派な瓦屋根の本堂です。
大根がいっぱい!
本堂には大根がいっぱい!
御本尊の歓喜天は大根が好物なんですって。お聖天さんに祈願をするとき、”大根絶ち”を誓うとお願い事を早く叶えてくれるともいわれています。『えっ?お前大根食べれないの?かわいそう😥』とお思いになるのかもしれませんね。
ただし、お聖天さんは誓いを破ると厳しめの罰を与えてくることでも定評があります😨軽い気持ちでの大根絶ち、ダメ絶対🙅♀️
向拝にも大根の彫刻が隠れています。
香炉にも大根の絵がありますが、餅巾着みたいな袋に描かれています。歓喜天を祀るお寺ではよく目にする、この「大根」と「巾着」はお聖天さんの御利益を表す二大モチーフだそうです。
- 大根:体を丈夫にする、良縁成就、夫婦仲良く一家和合を表す
- 巾着:商売繁盛を表す
ちなみに、この巾着は砂金袋だそうです。財宝がっぽり👌
御朱印と一緒にお菓子をいただきました🤤こちらにも大根のイラストがあります。
見ての通り、徳島県民には懐かしい「お嫁さんのお菓子」ですが、県外の方にはさっぱり伝わりませんね😂うっすら砂糖でコーティングされた麩菓子で、昔は結婚式の引き出物の定番でした。
神仏習合色が残る
お賽銭箱に「ご参拝のしかた」としてお参りのお作法が書かれていました。めっちゃ親切🤗
- お賽銭を入れます
- 鐘を三度打ちます
- 拍手を三回し、一礼します
- 手を合わせて次のご真言を七回唱えます 「おんきり くうぎゃく うんそわか」
- お願い事をします
- 拍手を三回し、一礼します
持正院はお寺なんですが、御本尊のお聖天さんは神さまなので神社のように拍手を打つのがポイントですね👏また、神社では「二礼二拍手一礼」がお作法ですが、持正院の拍手は3回なのも特徴。
まとめ
持正院は13番札所大日寺や一宮神社のすぐ近くにありますがやや奥まった場所にあり、また、大正時代の創建で比較的新しいお寺であるため意外と知られていないかもしれません。入田町では古くから盛んだった「聖天信仰」を引き継ぎ、檀家を持たない「祈祷寺」として。今も県内各地から広く信仰されています。
「祈祷寺」と聞くと一般的なお寺とは違うの?ととまどうかもしれませんが、本堂には参拝のお作法がわかりやすく書かれているのでぜんぜん大丈夫😊
徳島のお寺では珍しくちょっとカラフルな御朱印があり、秋の大祭では特別御朱印もあるようなので御朱印集めが好きな方にもおすすめです!ぜひ、お参りに行ってみてくださいね。
おすすめのお立ち寄りスポット
持正院の近くで御朱印がいただける神社仏閣や、合わせて行きたいおすすめスポットをまとめました。
大日寺
持正院のすぐ近く、四国八十八か所霊場第13番札所大日寺があります。東西に横長な境内でそれほど広くはないですが、個人的には本堂の彫刻がゴージャスで大好きなお寺🥰
インパクトある「しあわせ観音」や御利益モリモリの「倶利伽羅龍王」も見どころ。
一宮神社
大麻比古神社が阿波国一の宮になったのは平安時代以降といわれています。それまではこちら一宮神社が阿波国一の宮でした。拝殿前には珍しいダブル神馬像があり、御本殿は国の重要文化財に指定されています。
拝殿左奥の社務所で御朱印もいただけます。